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令和 2年 2月定例会本会議-02月25日-05号

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  1. 長野県議会 2020-02-25
    令和 2年 2月定例会本会議-02月25日-05号


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    令和 2年 2月定例会本会議-02月25日-05号令和 2年 2月定例会本会議 令和2年2月25日(火曜日)  出席議員(57名)   1 番 熊谷元尋      27 番 両角友成   2 番 望月義寿      28 番 中川宏昌   3 番 小林君男      29 番 清水純子   4 番 清水正康      30 番 小池久長   5 番 加藤康治      31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦      32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜      33 番 石和 大   8 番 大井岳夫      34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人      35 番 山岸喜昭   10 番 寺沢功希      36 番 小島康晴   11 番 花岡賢一      37 番 小林東一郎   12 番 池田 清      38 番 毛利栄子   13 番 百瀬智之      39 番 和田明子   14 番 山口典久      40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志      41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美      42 番 小池 清   17 番 竹花美幸      43 番 宮本衡司
      18 番 宮下克彦      44 番 清沢英男   19 番 大畑俊隆      45 番 垣内基良   20 番 共田武史      46 番 鈴木 清   21 番 丸山大輔      47 番 高村京子   22 番 髙島陽子      48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志      49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人      50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫      51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司      52 番 向山公人   53 番 平野成基      56 番 服部宏昭   54 番 本郷一彦      57 番 望月雄内   55 番 萩原 清  欠席議員(0名)         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一     農政部長      山本智章   副知事       太田 寛     林務部長      井出英治   副知事       小岩正貴     建設部長      長谷川朋弘   危機管理監兼危   竹内善彦     建設部リニア整   坂田浩一   機管理部長              備推進局長   企画振興部長    伊藤一紀     会計管理者兼会   塩谷幸隆   総務部長      関 昇一郎    計局長   女性活躍推進監   酒井裕子     公営企業管理者   小林 透   兼男女共同参画            企業局長事務取扱   センター所長             財政課長      矢後雅司   県民文化部長    増田隆志     教育長       原山隆一   健康福祉部長    土屋智則     教育次長      轟 寛逸   環境部長      高田真由美    教育次長      三輪晋一   信州ブランド推   熊谷 晃     警察本部長     伊藤泰充   進監兼営業局長            警務部長      野﨑美仁   産業労働部長    林 宏行     監査委員      田口敏子   観光部長      中村正人         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡    議事課担当係長   山田むつみ   議事課長      村松敏伸    議事課主任     水澤まゆみ   企画幹兼議事課   西川 裕    総務課担当係長   伊藤啓一   課長補佐              総務課主事     宮坂祐樹         ───────────────────  令和2年2月25日(火曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(清沢英男 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(清沢英男 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、両角友成議員。       〔27番両角友成君登壇〕 ◆27番(両角友成 君)皆さん、おはようございます。日本共産党県議団の両角友成です。私は発言通告に沿って一般質問を行います。  まず初めの質問事項は、公立・公的病院の再編統合の動きについてであります。  厚労省は、昨年9月26日、再編統合が必要として全国424病院の実名リストを公表しました。今年に入り、1月17日、対象にした病院にデータ入力漏れがあったとして新たに約20病院を加え、集計にミスがあったとして7病院を除外、結果、「再編統合の検討が必要」を440病院に修正しました。  長野県内では15病院が公表され、病院関係者からは、うちの病院がなくてもいい病院と言われているようだ。住民からは、病床、ベッド削減につながると不安の声が上がっています。  私の地元中信地域でも二つの病院名が公表されました。その一つ、安曇野日赤病院。院長いわく、うちの病院は安曇野市を中心とした中核医療を担っていると自負しています。救急車搬入件数は年間2,751件に上るんです。国からの評価は機械的、まず病院に打診すべきではと不満を表しています。  今回公表された病院は、2017年当時のデータを基に、がん治療や救急治療の実績が少なかったり、車で20分以内に似た診療実績のある施設が存在する病院などをリストアップしたものとされ、病床の削減や診療科の集約への動きを加速させることが狙いです。  リスト作成のために使ったデータはレセプトが基というのもおかしな話です。診療実績は、地域の人口や年齢構成、その病院の置かれている地方の特性を抜きに画一的に論じられるものではありません。分析で診療実績が少ないなどと判断した病院を公表したといいますが、地域ごとの実情と歴史を踏まえたものと言えるのでしょうか。  実情は、診療のニーズがあっても、医師が確保できず、患者を受け入れられない病院もあります。また、中山間地、豪雪・寒冷地などの考慮もされずに車の移動時間を尺度にするのも長野県には無理があります。たとえ不採算病院でも、災害対応など重要な機能を担っています。  最後のとりで、今も拡大を続ける新型コロナウイルスに対応する隔離病棟を持つ感染症指定医療機関の約8割は公立・公的病院とのことです。画一的な基準で公立・公的病院の再編統合を進めれば、今でも医療提供体制が十分整っていない現状に置かれている地域医療の疲弊に一層拍車をかける危険があります。  全国知事会など地方3団体は、地域住民の不信を招いているとする意見書を国に提出しました。知事会のそれは15項目に及び、文面には、病院名公表に当たり、その理由など地域住民に説明責任を果たすこと、厚労省が再編統合を進めるべき公立・公的医療機関の実名を公表したことは、むちゃくちゃ思い切った乱暴なやり方だと断じています。  厚労省が昨年10月より開始した各地の説明会でも、地方創生に相反するという声が相次いでいます。厚労省は、機械的な対応はしない、強制はしないと繰り返しますが、公表した病院名リストの撤回を求める声には応じようとしていません。対象病院の再編統合について議論を本格化させ、本年9月までに結論を求める方針を変えていません。  先日の酒井議員の質問にもありましたが、期限を守らねば基金配分にペナルティーを科すこの姿勢、とんでもないことです。安倍政権は、団塊の世代全員が75歳以上になる2025年に向け、公的医療費を抑え込むための制度改悪を推進しています。地域医療の再編統合もその一つです。  昨年6月に閣議決定した骨太の方針では、民間病院も含め再編統合を図ることを強く求めています。しかし、住民にとって身近な病院や診療科がなくなることは深刻な事態であり、国の思惑どおりに進展させてはなりません。厚労省が病院名公表という強硬手段に出たことは焦りの現れと言えます。独法とはいえ、県立の病院を持つ県です。県民の命と健康に責任を持つ県として、今回の一連の国の動きに対する県の対応と見解を健康福祉部長に伺います。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)公立・公的病院の再編統合についてのお尋ねでございます。  少子高齢化、人口減少社会を迎える中で、将来にわたって安全、安心な地域社会を維持するため持続可能な医療提供体制を構築していくこと、これは、それぞれの地域にとって避けては通れない課題であるというふうに認識してございます。であるからこそ、それは誰かに押しつけられてするというものではなく、地域の皆様の合意によって成し遂げるべきものであるというふうに考えます。  県では、医療の現場の皆様に加えて、行政や住民の代表などで構成される地域医療構想調整会議を開催し、各種データを提供するなど、活発な議論に向けた支援を行っております。また、同会議は、公開で開催するとともに、会議資料や議事録などその内容については速やかに公表し、広く周知するよう努めているところでございます。今後も、地域の皆様の意向を反映させた医療提供体制が構築できるよう努めてまいりたいというふうに考えてございます。       〔27番両角友成君登壇〕 ◆27番(両角友成 君)知事に伺います。  日本医師会横倉義武会長が、厚労省が昨年再編統合の議論が必要とする公立病院などの実名を公表したことを、あんな乱暴なことをしてはいけない。病床減少は人口が減れば当然起こる。計画的にどんどん減らせということがナンセンスと厳しく批判しています。  今県がやるべきは、公立・公的病院の果たしている役割を再評価し、維持、発展させることではないでしょうか。そのためには、まず厚労省の440病院の再編統合リストの撤回を求めることでは。知事におかれては、長野県内の地域医療、病院を守る立場で、国に対してまずは白紙にとリスト撤回を求めていただきたいが、いかがでしょうか。  加えて、地域医療担当部長を置いて進めようとする病床機能の再編統合などは、強引に進める国と同じような手法を取らないでいただきたいが、いかがでしょうか。  知事の見解を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)地域医療構想の推進に当たっての国の進め方については、私もこの場で何度も答弁しているように、いささかの拙速感があって、地域の実情をしっかり踏まえたものにしてもらいたいというふうに思っています。  昨年9月、突然再検証の対象医療機関が公表された際には、県内、国内のいろいろなところで大きな不安が起こったわけであります。厚生労働省に対しては、地域の実情をしっかり踏まえた対応ということを我々からもお願いしてきているところであります。  そうした中で、今年の1月、県に対してその診療実績データの提供が行われています。今回提供されているものは、この医療機関の診療実績データ等が示されているものでありまして、我々に対して確認をしてもらいたい、修正が必要なら修正の内容と理由を報告してもらいたい、こういう内容になっておりますので、このことについては、撤回をする、しないというものではなく、我々のほうからしっかり意見を言っていかなければいけないものというふうに思っております。  地域医療構想や持続可能な医療提供体制を構築していく上では、我々としては、丁寧な対応を通じて、多くの皆さんの理解と協力を得られる形で進めていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔27番両角友成君登壇〕 ◆27番(両角友成 君)次の質問事項は、教職員の長時間労働の是正についてであります。  国は、公立学校の教員に1年単位の変形労働時間制を導入可能とする法案、改正教育職員給与特別措置法を強行成立させました。昨年12月4日です。過労死が増える、先生を続けられなくなるなど強い反対の声を押し切っての導入です。これを受け、今年は、各都道府県、政令市で制度導入の是非がいや応なしに検討される年になるのではと考えます。  今回の制度は、教員や教育行政から要望があったわけではありません。言い出したのは国側であります。その国が認めるように、教員の長時間労働は依然として極めて深刻で、早急に手を打つ必要があります。最近では、教員志望者が減り始めています。先日開催の「こんにちは県議会です」でも、大学生から、今のままでは特に小学校教員の成り手がいなくなるとの意見が出されました。  こんな状況でも、国は潤沢に予算を投入するつもりはない。そこで、お金のかからない夏休みのまとめ取りを言い出したわけです。繁忙期に1日10時間まで可能とし、閑散期と合わせて平均で1日8時間にする。学期中を繁忙期にすること自体教員の働き方をさらにひどくします。例えば、現在定時が午後4時45分なら、それが6時、7時になります。これでは、午後4時45分終了をめどに設定されてきた会議が6時、7時まで可能となり、教員はそれから次の日の授業準備などを行うことになりかねません。まさに長時間労働を固定化するものです。  人間の心身は、繁忙期の疲労を閑散期で回復できるようにはなっていません。この制度は、人間の生理に合った1日8時間労働の原則を破るものです。日々の労働時間削減が課題なのに、これでは問題が解決するわけがありません。  学校現場は深刻です。休憩時間は45分あるが、現実的には取れない。5分ぐらいで昼食を食べて児童会の打合せのときも。ある養護教諭は、朝6時半に出勤し、23時30分に退勤のときも。子育て中の教員はもっと大変で、土日出勤している先生も。新人の教員を見ていると、授業の準備に時間をかけられているか心配とのこと。子供の日記を見てコメントを書いてあげるのが本来の仕事だと思う。日記で子供一人一人とつながっていると感じる。しかし、それができないなどなど。  本来、長時間労働の是正は、教員の定数増、行政研修の削減、学校閉庁日の実施など抜本的な対策が必要だと考えます。この制度導入の動きに対する県教育委員会の見解を教育長に伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)変形労働時間制導入に対する見解についてというお尋ねでございます。  国は、この制度導入の目的を、夏休み等における休日のまとめ取りを可能とするためとしております。  一方で、昨年の中央教育審議会の答申でも、1年単位の変形労働時間制を導入することで学期中の勤務が現在よりもさらに長時間化しては本末転倒であることが指摘されております。そのため、国会の法案審議の段階でも、制度導入に当たって今後定める省令や指針の中で、勤務時間の上限の遵守をはじめとして長時間勤務を抑制する様々な条件を課していく旨の答弁がなされているものと承知しております。こうした条件をクリアして、初めて制度導入が可能となるものでありまして、学校における働き方改革を着実に進めることが必要だというふうに感じております。       〔27番両角友成君登壇〕 ◆27番(両角友成 君)1日平均12時間近く働いている教員の所定勤務時間を、どんな理由があっても長くすることは決してやってはならないことだと申し上げます。その上で、仮に導入しようとしても、勤務時間の上限に関するガイドライン、残業月45時間、年360時間以下が守られなければ導入は不可とも言われています。  文科省の2016年度の教員勤務実態調査を見ると、残業時間をオーバーしている教員は8割を超えています。長野県でも、2019年6月実施の県教組の勤務実態調査では、78時間40分と過労死ラインに迫っています。県の義務教育課発表の昨年12月の数値でも47時間42分です。これでは制度は適用できないのではないでしょうか。既に市町村教育長からの反対の声も上がっています。こんな状況下でも県教育委員会として国の方針どおり制度導入を目指すのか、教育長に伺います。
          〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)制度導入を目指すのかというお尋ねであります。  お答えしましたとおり、教育職員の長時間勤務が是正されて、初めて制度導入が可能であるというふうに国も述べているところであります。  県教育委員会としては、学校の働き方改革のために既に様々な政策を実施しているところでありますけれども、喫緊の課題であるという認識の下、さらに取組を進めていくことが必要だというふうに考えております。今後示される予定の省令や指針の内容も注視しながら、制度導入の適否について慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。       〔27番両角友成君登壇〕 ◆27番(両角友成 君)この問題は大変重要な問題ですので、頃を見てまた質問したいと思います。  未来を、将来を託す子供たちを、教え、育てる。本来、教職は夢のある仕事ではないでしょうか。時間が、ゆとりが、学校現場こそ必要です。教員をこれ以上長時間働かせることのないよう、逆にゆとりの手だてをと申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(清沢英男 君)次に、高村京子議員。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)国民健康保険料、税の負担軽減と市町村支援について伺います。  2月6日の県国保運営協議会を傍聴しました。その資料では、令和2年度の国民健康保険納付金総額は、今年度と比較すると、前期高齢者交付金は604億円から630億円と26億円増え、療養給付等交付金も622億円から646億円と24億円増えます。市町村別納付金総額は574億円から510億円となり、64億円少なく、1人当たりの納付額は約12万7,000円から約11万8,000円と9,000円低くなるとしています。  県が市町村に示す標準保険料率は、実際に市町村が独自に賦課する基金や法定外繰入れ等の影響は加味していないとのことですが、今年度の状況は、昨年度と比較して、値上げした市町村はどのくらいありますか。また、来年度の見込みはどうか伺います。  次に、保険料の値上げをならすために激変緩和措置が行われていますが、年々その額は減少しています。6年間で措置額がゼロとなるよう毎年2%以内で納付金に上乗せをしており、必然的に毎年保険料が増える仕組みとなっています。この間の激変緩和対象市町村の数と金額を伺います。  市町村独自に一般会計等から国保財源に繰り入れている市町村があります。その金額、動向を伺います。  高い保険料の軽減に努めている自治体に対し、国は、来年度から、この繰入れに対し保険者努力交付金を減らすペナルティーをかけ、一般財源からの繰入れをやめさせようとしていますが、これに対し県はどう対応するのか、伺います。  国保の保険料、税の負担が重く、払えない世帯があり、医療機関への受診を控え、重症化したり適切な医療が受けられずに亡くなったりするケースが県内でも発生しています。主に低所得の方々です。長野市では、収入が150万円以下の世帯に短期保険証の交付はしない。横浜市でも昨年8月から実施しています。上田市では、保険証の窓口留め置きを極力減らし、命のパスポートを手元に届ける努力をしています。県としてこのような取組の促進を求めますが、いかがでしょうか。以上4点について健康福祉部長にお伺いします。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)国民健康保険料について4点お尋ねをいただきました。順次お答えをいたします。  最初に、国民健康保険料の値上げについてでございます。  国民健康保険料は、所得割、資産割、均等割、平等割の4要素ないし資産割を除いた3要素から成り立ってございまして、例えば、所得割を引き上げる一方で均等割を引き下げるといった改定もございます。  県では、これらの4要素のうち、据置きないし引上げのみをしている場合に「引上げ」、逆に、据置きないし引下げのみをしている場合に「引下げ」、それ以外の、全てを据置きするか引上げと引下げが混在している場合に「据置き」としているところでございます。本年度の保険料をこうした考えで整理いたしますと、引上げ、引下げがそれぞれ4市町村、残りの69市町村が据置きとなっているところでございます。  来年度の見込みについてもお尋ねをいただきましたが、市町村は、1月30日に県から示された納付金額を踏まえ、来年度の保険料率を3月議会ないしは6月議会において決定することとしており、現時点ではお答えできる状況にはございません。  次に、激変緩和措置についてでございます。  激変緩和措置市町村の数と金額は、平成30年度が47市町村で約18億5,000万円、令和元年度が50市町村で約22億8,000万円、令和2年度は20市町村で約1億8,000万円となっております。  なお、本来激変緩和措置が縮小となるはずの令和元年度が前年と比べて増加いたしましたのは、前期高齢者交付金の影響により納付金額が県全体で36億円増加したことによるものでございます。  次に、一般会計からの繰入れについてでございます。  平成30年度決算を見ますと、いわゆる一般会計からの法定外繰入れは44市町村が実施し、金額は約15億9,000万円であり、このうち、決算補填等の目的のものは8市町村で約9億1,000万円となっております。平成29年度と比較し、法定外の繰入れの金額は約55.0%、決算補填等目的のものは約49.5%とほぼ半減いたしました。令和元年度は、年度途中であるため、最終的な動向は不明でございます。  国は、令和2年度から、保険者努力支援制度交付金の算定項目に決算補填等目的の法定外一般会計繰入れの削減を追加し、削減予定額を達成しない市町村等に対して減点評価を実施いたします。  長野県では、平成29年度に市町村と協議し策定した長野県国民健康保険運営方針において、決算補填等目的の繰入れは段階的、計画的に解消、削減を図ることとしております。国民健康保険の健全な運営は、基本的に国や県からの公費と保険料により医療費を賄っていくべきものであり、同運営方針に沿って該当市町村が行う削減等の取組に対し、県としても助言、指導をしてまいりたいというふうに考えてございます。  次に、保険料滞納者に対する措置についてでございます。  保険料を滞納した場合の短期被保険者証は、市町村が滞納者の方々との納付相談の機会等を確保するために交付しているものでございます。この交付目的に照らし、県としましては、個々の市町村が定める基準を尊重しながらも、機械的、一律的な対応をすることなく、滞納者の方々の個別の状況を十分把握するよう機会を捉えて市町村に助言しているところでございます。  また、保険証の窓口留め置きの解消に向けましては、昨年6月、全市町村宛ての通知において、基本的には中長期的に被保険者証を保険者側で留め置くことはせず、郵送や訪問等により被保険者に渡すよう明記いたしますとともに、必要に応じて個別に市町村に対して助言をしているところでございます。  以上でございます。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)一般財源から市町村の努力で国保の基金に入れている、この額が少なくなっております。少なくなった上に、さらに国がそのペナルティーを科すということですと、必然的に高い保険料がさらに高くなることを大変危惧しております。  国保の保険料の負担は、協会けんぽ等と比較しても非常に重いです。全国の加入者では、1人当たりの平均医療費は36万円で、協会けんぽの約2倍です。平均所得は86万円、1世帯平均は126万円で、協会けんぽの約半分です。国保の平均保険料は1人当たり8万7,000円、世帯では13万9,000円で、国保料は所得の1割以上にもなります。少ない収入の中で保険料を払えない、払ったら暮らしていけない、医療にもかかれない状況にある人がいます。  負担を重くしているのが、全ての世帯に均等に課される平等割と、子供、赤ちゃんを含めた家族の人数に掛けて加算される均等割があることです。昨年6月に市長会が、7月には全国知事会が、国に対して公費による国保料の抜本的軽減が必要、定率国庫負担割合の引上げ、子供の均等割負担の軽減などを提言、要望されています。  知事に伺います。  県は、高い国保料の引下げに向けて、国に対しさらに働きかけを強め、県としても全ての国保世帯に保険証が行き渡るように取り組んでいただきたいが、いかがでしょうか。  次に、不登校児童支援と多様な学びについて伺います。  小学校、中学校の不登校児童生徒数が増加しています。小学校では、平成28年530人、29年706人、30年では1,032人と増えています。中学校でも、平成28年1,689人、平成29年は1,881人、30年度では2,192人と急増しています。平成30年度の全国比較で、小中学校合計で、全国1.69%に対し長野県は1.95%と高い状況になっています。  不登校児童生徒が増えている状況をどのように県教育委員会は受け止めていますか。困難や悩みを抱える不登校児童生徒に対し、学びの場の確保の保障を含めてどのような支援を進めるのか。以上2点、原山教育長にお伺いします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)国保料に関する国への要望について御質問をいただきました。  県におきましては、令和2年度の当初予算案におきましても、一般会計から国保特別会計に約116億円の拠出を計上しておりますほか、低所得者の保険料軽減対策として約57億円の負担金も計上して、国民健康保険被保険者の保険料負担の軽減に努めているところであります。  国民健康保険制度は社会保障の根幹をなすものでありまして、国が財政的な責任を持つものというふうに考えております。国保の安定的な運営と保険料の引下げという観点からも定率国庫負担の引上げが必要だというふうに考えております。また、国保料の均等割につきましても、子供が多い世帯ほど負担が重くなりますので、子育て世帯あるいは低所得者の方々への配慮も重要だというふうに思っております。  議員から御指摘がありました全国知事会による要望のほか、長野県独自にも、6月3日、11月7日に国に対して要望を行ってきております。要望実現のため、今後とも様々な機会を捉えて粘り強く求めていきたいと考えております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)不登校児童生徒が増えている状況の受け止めについてというお尋ねでございます。  不登校児童生徒数については文部科学省調査によっているところであり、この調査では不登校の要因についても調べていますけれども、それは全て学校側の認識を問うてきたところであります。  昨年9月、初めて県教育委員会独自で不登校児童生徒に対する当事者アンケートを実施しました。その結果、学校に行きたくない理由として、教職員との関係を挙げた子供が27.4%であったのに対し、先ほどの国の調査における学校の回答は3.5%でありました。また、家庭に係る状況を理由に挙げた子供が9.7%であったのに対し、学校の回答は43.4%であるなど、不登校当事者の子供たちと学校との認識に大きなずれがあることが分かりました。  また、同アンケートでは、文部科学省調査にはない項目も設定しました。その中で、子供たちは、学校を欠席した理由として、学校は居心地が悪い、疲れる、体調が悪くなる、自分でもよく分からないと回答するなど、これまでの認識とは異なる原因が明らかになったところであります。こうしたことから、不登校の状況を把握するために、当事者の声をより丁寧に聞いていくことが重要だというふうに受け止めているところであります。  次に、不登校児童生徒の学びの場の保障に向けた支援についてでございます。  不登校の子供たちは、困難や悩みを抱えながらも学校に登校している子供たちや欠席が長期化している子供たちなど、様々な状況にあるというふうに考えています。  全ての子供たちが自分らしく学ぶことができるためには、まずは学校が安心して学ぶことができる場であることが必要だと思っております。そのため、令和2年度は、科学的根拠に基づいた調査を活用し、一人一人の子供たちの声を客観的に捉え、その結果を踏まえた取組を計画、実践することで、子供たちの実態に合わせて学校が変わっていく取組を試行的に実施したいと思っております。  また、学校に行けない子供たちについては、選択できる多様な学びの場の整備が必要だと思っております。学校以外の学びの場の整備や学校と多様な学びの場との連携等について、民間団体や学校関係者と協議の場を設け、社会的自立に向けた仕組みづくりについて検討していく予定であります。  このほか、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる支援が、学校だけではなく、家庭や多様な学びの場においても可能となるよう引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)フリースクールは、子供たちが心地よく安心できる居場所となるよう努めています。自分を見つめ、やりたいことを見いだし、自分なりの人生を切り開けるような成長の場となっています。この場所があったから今の私がある。親御さんは、子供にどう接してよいのか悩んでいましたが、フリースクールに行くようになって救われました。学校に行かなくても自分なりの成長ができるところで感謝していますと言われます。  新年度予算案で私立通信制サポート校に通う住民税非課税世帯の生徒に対して年10万円の補助制度が新設され、歓迎します。小中学校に行けない子供たちと家族に寄り添うフリースクールなど、多様な居場所や学習支援団体に対しての財政的な支援も求めますが、いかがでしょうか。この点は県民文化部長にお伺いします。  長野県教育委員会は、来年度、高校再編推進室を設置して高校改革を進める。さらに、入試制度改革を令和6年度選抜からに延長し、今年9月に新たな選抜制度を決定したいとしています。  不登校とならざるを得なかった子供たちにとって、高校への入学が、心機一転、頑張りたい起点となるチャンスです。県教育委員会は、国連からも繰り返し指摘されているように、過度な競争的な教育環境を見直し、全ての子供たちに学びの場の門戸を大きく開くことが必要です。15歳の子供たちを選別や排除するような制度はやめ、希望に寄り添う高校入試制度や高校の在り方を考えていただきたいが、いかがでしょうか。  また、夜間中学は各県に一つは必要とされていますが、長野県にはありません。これまで、需要がないとお答えいただいておりますが、様々な環境の中で義務教育を受けられなかった人々や外国人労働者、その家族などに要望が増えていると考えます。夜間中学の要望等について調査を行い、夜間中学設置を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。以上、教育長に伺います。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)フリースクール等に対する財政支援について御質問いただきました。  何らかの理由から学校に行くことが難しい子供たちにとって、フリースクールは大きな役割を果たす場所であると認識しております。また、地域においてフリースクールと学校をはじめとした教育に関する社会資源が連携して、子供たちにとって最もよい形で力を発揮していくことが重要というふうに考えているところです。  一方、フリースクールは、その実態が多様でございます。運営主体、教育理念や教育内容、開設日数やかかる費用もそれぞれでございます。そのため、来年度は、フリースクールの実態の把握をさらに進めるとともに、フリースクール関係者、不登校児童生徒の保護者、支援者、学校関係者等から、学校など地域の教育資源とのよりよい連携とその充実策についての意見交換会を県下4地区で開催して意見を伺ってまいる予定です。フリースクールへの支援につきましては、これらの御意見等を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)不登校支援に関わりまして、今後の入学者選抜制度及び高校の在り方についての御質問でございます。  議員御指摘のとおり、高校への入学は全ての生徒にとって新たな出発点であり、中学時代不登校であっても、多くの生徒が高校に進学している状況であります。  現在の入学者選抜におきましては、何らかの理由により評定がつかない生徒であっても、中学校から提出される調査書に加えまして、学力検査、面接等を資料として各高校が総合的に合否を判定しておりますが、令和6年度導入予定の新たな入学者選抜制度では、不登校生徒等にさらに配慮する方向で検討しているところであります。  現在、全ての県立高校において、スクールカウンセラー、特別支援コーディネーター等による相談体制を整え、不登校経験を持つ生徒に対する支援の仕組みの構築に努めております。 また、高校改革においては、多様な生徒の生活、学習スタイルに応える高校として、多部制・単位制高校の充実や通信制高校の改革を進めているところでございます。  次に、夜間中学の設置についてでございますが、本県では、平成28年度に中学校夜間学級設置における課題検討会が設置され、フリースクールや外国籍の方々の支援を行う団体の代表者を含む有識者による検討会を行いまして報告がなされたところであります。  報告では、その時点での夜間中学設置のニーズは確認されませんでしたが、近年の在留外国人の増加を踏まえ、毎年度調査を続けておりまして、平成29年度からは、市町村教育委員会に加え、外国籍の方や不登校の方を支援しているNPO法人等にも調査をお願いしているところであります。  本年度の調査のうち、市町村教育委員会に対する調査では人数は確認されませんでしたが、NPO法人に対する調査では、全県で、夜間中学で学び直すことを希望しているというふうに捉えられる外国籍の方が25名、不登校を経験された中学既卒者の方が3名という結果を得たところであります。夜間中学の設置につきましては、今後も調査を継続する中で必要性を検討してまいりたいというふうに考えております。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)男女平等、ジェンダー尊重社会促進に向けて伺います。  女性が家庭や職場や地域において個性や能力を発揮できる社会、性別にとらわれずに誰もが自分らしく生きられる社会の実現に向けて取り組んでいくことが今求められています。第4次長野県男女共同参画計画の進展などについて女性活躍推進監に伺います。  1、女性幹部登用について。この間の県の取組と、県職、教員、県の審議会、自治会等での進捗状況はどうか。次の第5次の男女共同参画計画策定への課題をどのように捉えておられるか。  2、非正規雇用の7割が女性で、男女の賃金格差も大きいものがあります。雇用や賃金の労働実態をどう捉えているか伺います。  3、厚労省2018年の調査では、県と市町村女性議員の割合は、全国平均では13.1%で長野県は13.8%です。女性議員が増えない理由に、一つは、政治は男性のものという固定的性別役割分担意識がまだある。二つに、議員活動と家庭生活が両立できる環境が整備されていない。三つに、経済的負担が大きいとの要因があると内閣府が報告しています。  過日の県議会主催の地方自治政策課題研修会で、県立大学の学生が、女性にとって必要な設備や育児に伴う休暇休業制度を取り入れる、政党や地域が女性に立候補を要請するなどを提言してくれました。地方女性議員の比率を上げるための県の御認識を伺います。       〔女性活躍推進監男女共同参画センター所長酒井裕子君登壇〕 ◎女性活躍推進監男女共同参画センター所長(酒井裕子 君)3点お尋ねをいただきました。  まず、第4次男女共同参画計画の進展、女性幹部登用の進捗状況及び次期計画策定への課題についてでございます。  第4次男女共同参画計画の進展状況につきましては、37の成果指標のうち、目標達成またはおおむね順調なものが16、目標に近づきつつあるものの努力を要すると思われるものが6、目標達成が困難と思われるものが15となっており、全体としてはまだまだ課題が多いと捉えています。  指標のうち、女性幹部登用の進捗状況でございますが、県職員の管理職に占める割合は8.6%でおおむね順調。公立学校の校長、教頭に占める割合は、小中学校17.5%、高校9.3%で目標達成。県の審議会等委員に占める割合は43.0%でおおむね順調。自治会長に占める割合は1.4%で目標達成が困難となっております。  県職員を含め企業等における管理職への女性登用は、徐々に理解が進み、実績も現れてきているものの、全国順位では低位にとどまっているほか、地域における自治活動等への女性の参画も進んでいない状況です。  こうした状況を生む要因としては、固定的性別役割分担意識や無意識の偏見、思い込みが挙げられ、この意識の払拭が新たな計画策定において大きな課題の一つと考えております。  次に、男女の賃金格差についてでございますが、厚生労働省が平成30年に実施した調査によると、長野県の女性の所定内給与額は年間平均225万4,000円で、男性の年間平均305万7,000円を100とすると73.7となっております。平成26年の71.7に比べ賃金格差は縮小しているものの、依然として格差はあると認識しております。これは、女性の非正規就業者の割合が高いことや、出産や育児等をきっかけに就業が継続できず、キャリア形成が難しい状況にあること、管理的職業従事者の女性比率の低さといった実態によるものと考えられます。  次に、地方女性議員の比率を上げるための県の認識についてでございます。  日頃から地域社会に関心を持ち、祭りやPTA活動、消防団など様々な地域活動に携わり、さらには自治会活動などの意思決定の場にも関わることで、政治への参加意欲も高まると考えております。  しかし、地域においては、地域活動を支える役回りを担っている女性が多くいる反面、自治会長、公民館長など地域のリーダーを務める女性がまだまだ少ないことが女性議員の比率が低いことにもつながっていると考えております。  県としては、市町村や地域団体等との共催による女性のエンパワーメントや、男女共同参画社会づくりのためのセミナー等を通じて、女性自身や地域の意識啓発を行い、今後、議員を目指す女性が増えていくための環境づくりを支援してまいります。       〔47番高村京子君登壇〕 ◆47番(高村京子 君)御努力はいただいておりますけれども、女性の社会進出については、やはり家庭や地域や自治会での役割分担というものがまだまだあると思います。この啓発は今までのやり方でいいのか。性的役割分担の考えは私の中にもありますし、皆さんの中にもあると思います。こういうことも含めて、男女共同参画社会を促進するために力を合わせていきたいと思いますし、御努力もお願いしたいと思います。  ジェンダー平等の実現度合いを示す国際ランキングの最新版で、153か国中、日本は前回の110位からさらに下がって121位と過去最低になってしまいました。政治、経済、教育、健康の4分野ではじき出される男女格差の総合順位が、世界的に見て日本は後進国となっています。  昨年末、フィンランドで34歳の女性首相が誕生しました。新内閣閣僚の19人のうち12人が女性です。女性国会議員の割合は、フィンランドが46%、日本は16%です。フィンランドのサンナ・マリーン首相は、幼いときに両親が離婚し、女性のパートナーを持つ母親の下、貧困の中で育ちながら、手厚い福祉や教育無料の支援を受けて、自由闊達な学生生活や活動をすることができたようです。国際的な比較での現状についての御所見と、女性活躍促進に向けてどのような取組をすべきか伺います。  県は、誰にでも居場所と出番のある長野県を目指し、人権政策を全庁的に推進するとしています。LGBT、いわゆる性的指向や性自認を持つ多様な方々への配慮や理解、共感を広げ、当事者がつらく苦しむことのない環境を具体的につくっていくことが求められています。
     南箕輪中学校で、体は女性で性は男性指向の生徒に寄り添い、制服をスカートでもスラックスでも自由としたことで通学できるようになった生徒のことが新聞に載りました。県は、このような多様な要望を持つ方々への理解と人権が尊重される社会をどう進めていくのか。県民文化部長と教育長にお伺いします。       〔女性活躍推進監男女共同参画センター所長酒井裕子君登壇〕 ◎女性活躍推進監男女共同参画センター所長(酒井裕子 君)国際的な比較での現状に関する所見と今後の取組についてでございます。  日本が大きく順位を落とした要因として、女性の政治参加度の低さや経済分野においても管理職に占める女性比率が諸外国に比べて低いことなどが挙げられています。  また、長野県においても、女性議員の比率や管理職比率など国と同様の状況と捉えており、こうした状況を改善していくことが必要と考えております。県としては、引き続き、地域における女性の活躍支援のほか、就業の場においても女性が能力や経験を最大限に発揮できるよう、男女ともに仕事と育児、介護等を両立しやすい環境づくりや女性のキャリア形成の推進に取り組んでまいります。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)多様な性的指向等への理解と人権が尊重される社会づくりについて御質問いただきました。  性的指向、また性自認の違いなどにとらわれることなく、自然に誰もがお互いを尊重し合う暮らしやすい社会をつくっていく必要があると考えてございます。しかしながら、性的少数者に対する社会の理解は十分に深まっているとは言えない状況でございまして、まずは県自らが率先して取り組むよう、性的指向や性自認についての必要な知識や、職場、職員における対応などをまとめました職員向けガイドラインを今年度末に向けて策定しているところでございます。  来年度は、このガイドラインの趣旨の周知と性的少数者への理解を深めることを目的といたしまして、市町村や企業の人権担当者、相談担当者などを対象とした研修を実施してまいります。  こうした取組を通じて、全県で性的少数者の人権を尊重する機運を醸成することにより、性的少数者が生きづらさを感じることなく、誰もが暮らしやすい社会づくりを推進してまいりたいと考えております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)私には、教育現場での対応、取組についてというお尋ねかと思います。  学校における対応については、個別の事案に応じ、当該児童生徒の心情等に十分配慮した対応を行うことが重要だと思っております。  学校では、学校生活を送る上での支援として、服装やトイレ、更衣室等の利用など、個々の状況に応じた配慮を行っているところでありますが、現在、県内の小中高校における具体的な配慮事例の把握を進めておりまして、よい取組について紹介していくことを予定しております。  また、管理職研修や教職員向けの人権研修の中でLGBTについて取り上げたり、人権教育講師派遣事業等において当事者から子供に体験を話していただくなど、教員や子供の理解促進を図っているところでございます。 ○議長(清沢英男 君)次に、小林君男議員。       〔3番小林君男君登壇〕 ◆3番(小林君男 君)信濃川水系緊急治水対策プロジェクトに基づく総合的な治水対策事業は、流域の住民の皆様から期待と歓迎の声が大きく、国土強靱化3か年事業の延長も国に要望しながら取り組まれることに敬意を表するものであります。  千曲川流域では、各地で甚大な被害がありました。須坂市北相之島地区においても、内水氾濫と本流からの越流の複合型の大きな被害がもたらされました。この地区は、過去から何回にもわたって内水氾濫がありました。これらの地区の住宅造成を進め、県営住宅を造った現在の県の責任者として、今後は床下浸水すら許さないとの大きな決意を持って、与えられた予算を一円たりとも無駄にしないよう、知事が先頭に立ってこのプロジェクト事業を行っていただきたいと思いますが、知事の見解をお伺いします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)緊急治水対策プロジェクトの推進についてという御質問であります。  今回のプロジェクトは、千曲川におきましては、大規模な浸水被害が発生した区間等において越水等による家屋部の浸水を防止、また、支川では、家屋部の浸水を防止または軽減ということを目標といたしております。地域の皆様方の強い願いでもございます。国とともに、市町村ともしっかりと連携してこのプロジェクトを推進しなければいけないというふうに思っております。地域の安全、安心が確保されるよう全力で取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔3番小林君男君登壇〕 ◆3番(小林君男 君)今回の事業における狭窄部の改善、河道掘削、堤防の強化なども十分に必要であります。しかし、これらの河川整備だけでは、大雨が引き起こす様々なタイプの水害を防ぐことはできません。何といっても千曲川本川の貯水量の向上、そして出水を集中させない、この2点の取組を国、県、関係市町村が進めていくことが重要であります。  そこで、まず長谷川建設部長に伺います。  国が主導する大きな遊水地だけでなく、県が管理する支流河川における遊水地の設置なども具体的に進める必要があります。特に、先ほどの北相之島地区の災害の歴史を考えると、排水機の増強は別メニューで農政部に進めていただいておりますが、それと同時に、この千曲川支流の川幅の狭い八木沢川流域で早急に遊水機能を持たせる必要があります。地役権や共済金の問題などをお聞きしていますが、新潟県刈谷田川における田んぼダムなどの既存のため池ではない具体的な遊水地の取組を県が管理する支川においても進めていただけるのでしょうか。見解をお聞かせください。  また、被災市町村から、県管理の河川や道路における防災も盛り込んだ早期復興の要望が議会決議の意見書などで寄せられますが、より丁寧に検討し、ビルド・バック・ベターの精神で実施していただきたいのですが、いかがでしょうか。  次に、井出林務部長にお聞きします。  越流の主な原因として、各山地から流出した土砂の堆積により河床上昇が進んだ。土砂流入は治水計画の中での治山事業の遅れなどではないかとする専門家の意見も伺っています。そこで、県として、森林保全のパトロールや衛星写真などを使っての点検をどのような頻度でどのように行っているのかお聞かせください。  そして、高田環境部長にお聞きします。  産業観光企業委員会は、昨年、家庭の雨水貯留設備の製造工場を調査してきました。長野市をはじめとして、幾つかの自治体でこの施設整備に対する助成制度がありますが、高額がゆえに申請は減少傾向になってきているとお聞きしています。  県下全域での家庭での雨水貯留機能を高めることは、災害防止とともに環境保全にも大きく寄与するものと考えます。各自治体の助成制度とあわせて、県でもこれに上乗せする助成制度を創設し、各家庭で雨水をためる施設の設置を推進すべきと考えますが、見解をお聞かせください。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)まず、支川における遊水地設置に関するお尋ねです。  河川の安全度を向上させ浸水被害を軽減させるための対策には、堆積土砂の掘削による既存施設の能力確保や河川改修による抜本的な断面の拡幅、さらにはダム、遊水地等の設置など、様々ございます。  これまでも、各河川の特性や沿川の土地利用の状況等を勘案した上で、より効果的な対策を選択し、洪水被害の軽減に努めてきております。今後につきましても、各河川の状況を把握し、議員御質問の遊水地を含め、その河川に即した対策を検討してまいります。  次に、早期復興に係る地元要望の実現についてのお尋ねでございます。  今般の台風19号災害に係る復旧に当たりましては、被災した道路や河川等の本格復旧を最優先で取り組み、早期の復旧を図るとともに、ビルド・バック・ベターの観点で改良復旧にも取り組んでまいります。  例えば、須坂市内におきましては、地域の方々から御要望いただいている松川の堤防強化や鮎川の漏水対策について緊急治水対策プロジェクトの一環として実施するほか、八木沢川の越水箇所における護岸かさ上げについては、台風19号災害以降に既に県単独事業で実施したところであります。このほか、百々川、鮎川、松川、八木沢川における堆積土砂の撤去も順次実施してまいります。  今後とも、被災された方々や関係者の皆様の声をお聞きしながら、地域の安全、安心の確保に努めてまいります。  以上でございます。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)森林のパトロールと衛星写真による点検についてのお尋ねでございます。  森林のパトロールにつきましては、毎年5月20日から6月30日までの期間を山地災害防止キャンペーンとし、市町村、山地防災ヘルパーの協力を得ながら、主として人家や生活道路に隣接する保安林を対象に現地調査を実施しております。  また、出水期や豪雨等のあった際には、保安林以外の森林も含め、必要に応じて職員が現地調査を実施するほか、平成26年度からは、森林組合と協定を締結し、山地災害に関する情報を得ているところでございます。  次に、衛星写真につきましては、隔年で取得をして崩壊地などの把握に努め、治山事業の計画などに活用しております。さらに、平成30年度からは、毎年、人工衛星から地表の変動を監視することにより、大規模な山腹崩壊や地滑り発生の兆候を把握する取組も始めているところでございます。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)雨水貯留施設の設置に係る県助成制度の創設についての御質問でございます。  雨水貯留施設の設置につきましては、国におきましても、流域における健全な水環境への改善や、特に都市部における大雨時の流出抑制など防災力向上にも貢献するものと位置づけております。  そして、雨水貯留施設の設置を推進するため、国土交通省で、新世代下水道支援事業として、市町村が同施設の設置者に対し費用の一部を助成する場合、その助成額の2分の1を補助する制度を設けているところです。現在、県内でこの補助事業を活用しているのは長野市と飯田市の2市のみとなりますが、これまでに約3,000基の雨水貯留施設が設置されております。  県の助成制度の創設という御提案でございますけれども、県といたしましては、まずはこの国の補助事業の活用について市町村に対して働きかけ、総合治水対策の一つとして効果が上げられるよう取り組んでまいります。  また、事業実施に当たって十分な予算が確保されるよう、国に対して要望するなど支援をしてまいります。       〔3番小林君男君登壇〕 ◆3番(小林君男 君)浅川流域などの内水氾濫の多い支川で出水を集中させない総合的な取組をぜひお願いいたします。  次に、松本空港の国際化について質問させていただきます。  国際化については、多くの方々が待望されていますが、今年度の国際チャーター便の就航は、当初計画した50便を下回る44便にとどまっています。そして、国際定期便の就航については、韓国との関係悪化や新型肺炎の感染拡大などで当面のめども立っていない状況下であると思われます。  そのような中で、来年度の予算では、1億2,000万円で臨時CIQを設置する。そして、その一方で、これとは別に、ビル本体の本格的な施設整備について検討するため今年度予算約1,250万円で現在委託調査中であると伺っております。  そこで、知事に伺います。  来年度は臨時CIQを設置し、その後さらに本格的なCIQが整備されたターミナルを建設するとの計画なのでしょうか。国際定期便の就航が不透明な中での建設について、県民への説明も併せてお願いいたします。  次に、県の総合的な公共交通政策の課題と展望についても知事に伺います。  この政策の課題は幾つかありますが、特に、免許証自主返納者の増加に伴う地域の足の確保や、CO2削減目標による自家用車利用を大幅に減らすための施策の必要性が大きく増してきていることが挙げられます。  知事も、従来から重要な社会的基盤であると表明され、県も、課題解消に向け、持続可能な公共交通ネットワークの構築に向けた取組を展開中であります。  しかし、地域公共交通の推進のための予算は、その重要性を考えると、極めて貧弱であるとしか言いようがありません。例えば、最適化サポート事業は、例年どおり470万円ほどの状況となっています。免許証返納などの機運が高まる中、人も金も大幅に増やし、重要事項として位置づけ、早急に全地域にカルテを指し示し、地方版MaaSなどの導入に向けての研究段階へと進むべきだと考えます。  依然として自家用車依存が高い本県にあって、市町村の財政負担の増加も大きな課題となってきています。その地域に即した地域公共交通マネジメントは、地域の実情と合わせて常に見直していく必要があります。  しかし、その権限を大きく持った各地域の公共交通会議があまり機能していない実態もある中で、県の役割はますます重要となってきています。長野県における公共交通の総合的な対策の考えをお聞かせください。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)松本空港の国際線受入れのための施設整備についてという御質問であります。  現在、信州まつもと空港における国際チャーター便の受入れに当たりましては、その都度、国内線と国際線の動線を分け、仮設のCIQ審査場を用意しているところであります。神戸線の就航など国内発着便が増加をしている中で、入国審査時間の長時間化等による国内定期便の遅延等、現在のターミナルビルだけでは対応が難しい場面も出てきております。御利用いただく方々に御迷惑をおかけしないという観点からも対応が必要というふうに考えております。このため、当面の対応として、円滑に国際線の受入れができるよう、必要最小限の規模で入国審査用の臨時施設を整備したいというふうに考えております。  続きまして、公共交通政策についてでありますが、県としても重要な課題だというふうに考えております。これまでも、地域振興局が主体となって、市町村とともに地域公共交通の課題に取り組み、とりわけ、北信地域においては地域公共交通網形成計画の策定を主導してきております。  国会に提出されております地域公共交通活性化再生法の改正案におきましては、公共交通の計画策定や取組における県と市町村の連携強化が求められているところでございます。このため、市町村とも一層の連携、協働を図りながら、県としてもこの公共交通の課題を真正面から受け止めて対策を進めていきたいと考えております。  以上です。       〔3番小林君男君登壇〕 ◆3番(小林君男 君)現在の状況下で、二段構えとなる国際線専用ターミナルの建設が必要なのか、十二分に御検討をいただきたいと考えます。  また、地域公共交通の総合的な政策は、まさに県民の重要なライフラインです。通勤通学の手段はもとより、高齢者の暮らしを支え、交流とお出かけの機会づくりを進め、観光にも役立つ交通網として、病院を核とするコンパクトシティーづくりの役割を担い、ネット通販からの地域経済の衰退を防ぐとともに、CO2削減にも大きな役割を持つものとなります。  課題は大きくありますが、赤字を補填、赤字は問題などという論理から、公共交通マネジメントは、県民への、そして環境改善への投資として、発想の転換をしていただく政策の推進をぜひお願いいたします。  最後に、会合出席費用に係る公費支出基準案について伺います。  この新たな施策は、職員の皆さんの実情などを勘案すると進めるべきであると考えますが、県民の貴重な財産を飲食に使うことは、慎重の上にも厳格な取扱いが必要であります。  そこで、関総務部長にお伺いします。  まず、基準案の「基本的考え方」の中に必要性や範囲などについての事前確認とありますが、例えば、知事が出席する場合の事前確認は誰がどのように行うのかお聞かせください。  次に、具体的基準の「執行状況の公表」では出席職員の職名とありますが、所属や氏名は公表されないのか。また、県が主催する食糧費における相手方の団体や企業名など出席者氏名も公表されるのか、お聞きいたします。       〔総務部長関昇一郎君登壇〕 ◎総務部長(関昇一郎 君)会合出席費用の公費負担に関する事前確認と公表内容についてのお尋ねであります。  会合出席の必要性等の事前確認は、予算を執行する部局の部局長等が確認することとしておりますが、知事が出席する会合の事前確認については総務部長が確認することを予定しております。  次に、ホームページでの執行状況の公表に関しては、既に公表している多くの県では会合名と支出金額のみを公表している状況であります。本県では、執行状況の透明性を確保し、公費負担の必要性、合理性を広く県民の皆様に確認していただけるよう、会合名や支出金額のみならず、公表範囲を拡大し、出席する職員の所属、職名、さらに施策推進上支障がある場合を除き、相手方の団体名も公表することを予定しております。  なお、基準の運用に当たりましては、県のコンプライアンス推進参与など外部有識者の御意見もいただくことにより、運用の適正性を担保してまいりたいと考えております。       〔3番小林君男君登壇〕 ◆3番(小林君男 君)「厳正な執行に向けて」の中で、官官接待は行わない。透明性の確保のために県民の皆様に適正性の確認をいただくとあります。透明性を確保するのであれば、まず出席職員の所属と氏名は公表すべきであり、相手方の団体企業名や出席者名も公表されるよう御検討いただきたいと思います。県民感情をしっかりと踏まえ、この制度が将来にわたっても厳格な運用を十分維持できるものとなるようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)次に、池田清議員。       〔12番池田清君登壇〕 ◆12番(池田清 君)改革・創造みらいの池田清です。通告に基づき質問いたします。知事並びに理事者の明快で前向きな答弁を求めます。  初めに、台風第19号災害への対応について6点伺います。  千曲川流域の東北信の市町村に甚大な被害をもたらした台風第19号の発災から4か月余りが経過いたしました。改めて亡くなられた皆様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。多くの皆様が仮設住宅での不自由な生活を余儀なくされています。暮らしとなりわいの再建に取り組む復興元年とも言える令和2年、私も、被災された皆様が一日も早く日常の生活を取り戻していただくことができるよう全力で取り組んでまいります。  災害から4か月が経過する今日、いつ起こるか分からない次なる災害対応の教訓とするため、人命確保を最優先する初動期、避難所への支援や公共施設応急復旧等を行う災害応急対策の段階について災害対応の振り返りが必要かつ重要であると考えます。  そこで、2点について危機管理部長にお伺いいたします。  1点目です。県は、避難所運営支援をはじめとして、様々な分野において被災した東北信の11市町村に対し人的支援を行ったと考えますが、その実績についてお伺いいたします。  2点目。県は、昨年3月、大規模災害発生時に国及び他県等から広域的な人的、物的応援を受け入れ、被災市町村に迅速に届けるために後方支援を行う広域防災拠点の配置や受援業務の明確化など具体的な受援体制を構築するため、長野県広域受援計画を策定しました。そして、市町村に対しても、ボランティアの受入れや避難物資の受入れ、被災者への供給など細部にわたるひな型を示し、市町村受援計画の策定を求めました。県内市町村、とりわけ今回の台風第19号災害被災11市町村の受援計画の策定状況について伺います。  また、今回の災害を踏まえ、市町村の受援計画の策定、見直しについて県はどのように支援していくのか、お伺いいたします。       〔危機管理監兼危機管理部長竹内善彦君登壇〕
    危機管理監兼危機管理部長(竹内善彦 君)私には2点御質問をいただきました。  被災自治体への県の人的支援の実績についての御質問でございます。  県では、発災直後から、被災自治体からの要請等に基づきまして、人的応援を要する業務に応じた職種の県職員を被災自治体へ派遣いたしました。具体的には、避難所の環境改善や被災者の健康管理等のため、保健師等を延べ196名、また、農地、農業用施設、道路、河川等の早期復旧のため、農業土木や土木の技術職員を延べ1,352名派遣いたしました。  このほかにも、避難所やボランティアセンターの運営、スクールカウンセラーによる児童生徒や保護者等への相談支援、災害廃棄物の処理、給水車による応急給水などの支援のため、合わせて延べ2,200名を超える県職員を派遣し、国、自治体及び関係団体等と連携し、被災自治体に対し人的支援を行ったところでございます。  次に、市町村受援計画の策定状況及び策定支援についての御質問でございます。  県では、昨年3月に長野県広域受援計画を策定するとともに、市町村には、効果的な支援を受けるため、受援計画の策定を依頼したところでございます。市町村受援計画を策定するに当たり、説明会の開催やひな形を提供するなどの支援を行い、これまで6市町村が計画を策定いたしました。  しかしながら、今回の災害で被害の大きかった市町村では発災前までに計画が策定されていなかったことから、被災市町村では物資拠点の開設や物資の受入れ調整に時間を要するなどの課題が生じたところでございます。そのため、昨年12月13日、県が物資拠点として開設した長野市営健康レクリエーションセンターにおいて市町村職員等を対象とした現地見学会を開催し、実例を紹介しながら早期の計画策定を改めてお願いをしたところでございます。  引き続き計画策定の進捗状況を把握するとともに、未策定市町村を対象とした説明会を改めて開催するなど、できる限り早期に全市町村において計画策定ができるよう支援をしてまいります。       〔12番池田清君登壇〕 ◆12番(池田清 君)今回の災害において、各市町村の地域防災計画、また、市町村の受援計画が十分機能できなかった面もあるということが今答弁で分かりました。今までに経験したことのない想定を超えた大規模災害であったことは理解しますが、住民の命を守ることが行政の最大の使命です。より実効性のある受援計画となるよう、図上訓練なども含め、助言、支援していただくよう要望いたします。  次に、災害ボランティアセンターの運営について2点知事にお伺いいたします。  1点目です。  災害ボランティアセンターの設置、運営は社会福祉協議会の役割として、行政は何のためらいや遠慮、疑念もなく、あうんの呼吸のごとく、社会福祉協議会に全幅の信頼を寄せ、任せてきました。  阪神淡路大震災、東日本大震災、西日本豪雨など、大規模災害のたびにボランティアの活動、活躍が大きく報道されてきました。今や災害復旧にボランティアは欠かせない存在となっています。ボランティアの活躍の裏で、災害ボランティアセンターを設置、運営してこられた社会福祉協議会の職員の皆さんがどれだけ大変な御苦労をされたかと、今回の台風第19号災害における災害ボランティアセンターの設置、運営を通じて痛感したところです。改めて敬意を表するとともに感謝申し上げます。  長野市と長野市社会福祉協議会は、長野市災害ボランティアセンターの設置等に関する協定書を締結して、災害ボランティアセンターの業務や費用負担、損害賠償等について規定しています。しかし、こうした事例は、県内のみならず全国的にもまれであると県社会福祉協議会の方からお聞きしました。より円滑な連携を図るため、県と県社会福祉協議会との間で県災害ボランティアセンターの設置、運営等に関する協定書を締結すべきではないかと考えますが、知事の見解をお伺いします。  2点目です。県社協は、県内被災11市町村に設置された災害ボランティアセンターの運営支援のため、研修部門を除いて可能な限り事業を中止、あるいは延期して、27人の職員がフル回転し、延べ785人の職員を派遣してきました。また、相互応援協定に基づき、被災しなかった地域の社会福祉協議会職員延べ1,827人を被災地に応援派遣しています。さらに、関東ブロック1クルー5日間及び北陸ブロック1クルー6日間、こうした社協の職員延べ587人の被災地への応援派遣を調整しました。  今回の災害経費について、車両等の賃借料、サテライト設置費、備品・消耗品購入費は、県共同募金会の災害等準備金から充当し、充当できない職員の超過勤務手当、休日出勤手当等は県社協が県社協の基金を取り崩して財源とするとお聞きしました。  災害ボランティアセンターの運営経費は、昭和22年に制定された災害救助法の災害救助費の支援対象に位置づけられていないため、国の財政的な裏づけがなく、市町村の補助金や共同募金会の災害等準備金頼みとなっています。また、今回の職員の超過勤務手当は、約4,000時間、およそ800万円になるとお聞きしますが、自らの基金を取り崩すことになります。  こうした状況を踏まえ、全国社会福祉協議会は、国に対して、災害ボランティアセンターが行う支援を災害救助費等の対象とするよう要望しています。県社協においても県に対して同様の要望をしています。県として県社協への支援をどのように考えておられるか、知事にお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ボランティアセンターに関連して2点御質問いただきました。  まず、協定の締結についてであります。  地域防災計画におきましては、県社協はボランティア活動の連絡調整の拠点となります福祉救援県本部の設置主体という位置づけになっております。今般の災害におきましても、10月13日に災害ボランティア本部を設置いただき、県や被災市町村等と連携してボランティアの活動支援に御尽力いただいたところであります。  そういう意味で、県社協、社会福祉協議会との連携強化は極めて重要だというふうに考えております。他県においても、社会福祉協議会と協定書等を締結し、双方の役割を明確化している事例があるということも承知をしておりますので、災害ボランティアセンターの設置、運営等に関する双方の役割の明確化を含めて協定の締結に関した検討を行っていきたいと考えております。  続きまして、県社協の支援という御質問でございます。  今回は、県の共同募金会の助成金を御活用いただいているというふうに伺っておりますけれども、大規模災害が全国で頻発している状況下においては、この災害ボランティアセンターの活動をどうしていくかということを我々もしっかり考えなければいけないというふうに考えております。  県としても、全国社会福祉協議会の要望の趣旨を踏まえて、災害ボランティアセンターの活動経費につきましては、災害救助費等国の支援制度の対象とするよう要望していきたいと考えております。  あわせまして、今回のような大規模災害時における県社会福祉協議会に対する支援の在り方についても今後しっかりと検討していきたいと考えております。  以上です。       〔12番池田清君登壇〕 ◆12番(池田清 君)県社協との連携強化も含めて、これから協定についても検討するという大変前向きな答弁であるというふうに受け止めさせていただきました。  県社協の知事宛て要望事項にもありましたけれども、災害復旧活動におけるボランティアと行政の役割の整理についても明確にすべきと考えます。協定に盛り込むことができれば最善と考えますが、協定という形式とは別にしても、安全性を最優先しながらこの見直しをしていただきたいというふうに思います。危機管理部と健康福祉部で振り返りの中で協議していただきたいと強く要望いたします。  次に、ふっこう割事業について、2点、観光部長にお伺いいたします。  台風第19号災害に伴い、被災地域だけでなく、県内全域における宿泊施設のキャンセルや観光客が減少する中で、国内外の旅行者を対象に、宿泊料金を割り引くことで観光需要を喚起し、観光再生を図ることを目的として実施されているふっこう割事業ですが、当初の台風第19号災害だけではなく、スキー場の雪不足、さらには新型コロナウイルスへの感染不安から、観光客がさらに減少するのではないかという不安が現実となっている現在、ふっこう割事業の現在の利用状況と現段階での課題をどのように考えておられるか、お伺いいたします。  次に、県観光機構や県内観光事業者との連携についてお伺いいたします。  千葉県の4億6,200万円、長野県の4億3,700万円に続いて、3番目の3億5,200万円を国の交付限度額とする福島県は、事業の事務局を民間事業者に委託した長野県、長野県の場合には、委託費は総事業費の9%、およそ約3,700万円になりますけれども、これとは違い、全国旅行業協会福島県支部及び公益財団法人福島県観光物産交流協会に委託し、地域との連携を密にして事業を行っています。  長野県の販売登録事業者のうち、旅行会社、OTA計105社中県内事業者はわずか8社のみです。残念です。県内の観光事業者が県内ホテル、旅館とスクラムを組んで、まさに「ONE NAGANO」で県内観光の再生を図る絶好のチャンスだったのではないでしょうか。長野県としては、県観光機構や県内事業者との連携をどのように行ってきたのか、観光部長にお伺いいたします。       〔観光部長中村正人君登壇〕 ◎観光部長(中村正人 君)2点御質問をいただきました。  まず、ふっこう割事業の利用状況と課題についてでございます。  ふっこう割事業は、昨年12月17日、対象都県の中で最も早く販売を開始し、2月17日現在、割引金額で約3億4,000万円、宿泊人数で延べ約7万5,000人分が予約または販売済みとなっております。  活用予定額約4億円の85%を既に販売したところであり、本県では、団体旅行等のツアーの販売に重きを置いたことから、宿泊に加えてスキー場やお土産店などでの消費拡大にも一定の効果があったものと考えております。  しかしながら、雪不足や新型コロナウイルス感染症の影響もありまして、台風災害による被害はいまだ取り戻せない状況になっていることが課題と認識しておりまして、中国からの団体旅行のキャンセルで販売が見込めない額を国内のお客様向けに配分し直すなど、調整を行ったところでございます。  このような厳しい状況を踏まえまして、さらに来年度予算案に観光振興緊急対策事業を計上させていただきまして、県内観光地の元気を取り戻せるよう、この事業の早期の執行に努め、切れ目のない支援を展開してまいりたいと思います。  次に、県観光機構や県内観光事業者との連携についてですけれども、本県では、ふっこう割の実施に当たり、県観光機構、旅館ホテル組合会、バス・タクシー事業者やドライブイン等が加盟する観光産業振興協議会の皆様等の御意見もお聞きしながら制度設計をいたしました。 より多くのお客様にふっこう割を利用していただけるよう、県内事業者が加盟する全国旅行業協会長野県支部等とも連携をして、県内事業者の要望を取らせていただいた上で商品の販売をしていただきました。  こうした取組に加え、11月補正予算でお認めをいただいた観光復興のための地域協働事業を県観光機構が中心になって実施をし、地域の観光協会や観光事業者と協働して復興の取組を進めてまいったところでございます。あわせて、「がんばろう信州!観光キャンペーン」を展開する中で、地域の皆様と連携したイベントの開催や情報発信に努めてきたところです。  引き続き、県観光機構や県内の観光事業者の皆様と緊密に連携し、「ONE NAGANO」を合い言葉に復興に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔12番池田清君登壇〕 ◆12番(池田清 君)御答弁をいただきましたけれども、県内事業者との連携をさらに密にしていただきたいというふうに思います。  令和2年度予算案の中に、このふっこう割と同じような目的を持つインバウンド向けの3,000万円の予算が計上されています。これから制度設計ということでありますが、このインバウンド向けの3,000万円の予算執行、そしてまた制度設計については、県内事業者との連携ということをしっかり再考していただきたいというふうに思います。  それでは、続きまして、高校入試改革の取組について教育長に3点お伺いいたします。  1点目、新たな公立高校入試制度導入について伺います。  新学習指導要領の導入に伴い、2022年の高校入試から導入しようとした新たな入試制度は、結果として、県議会、保護者、教育委員会等の導入に反対する意見によって2年先送りになりました。新制度の導入は、教育委員会における十分な議論の上の熟慮断行であったのか、いささかの疑念を抱かずにはいられません。教育委員会として第二次案を最終決定した2019年9月10日に開催された第1055回教育委員会定例会の議事録を見ても、教育長以外の5人の教育委員全員が出席されていますが、意見を述べられたのはお一人だけで、他の委員の発言はありません。教育長の議事進行の中、全委員異議なしで粛々と決定されています。その後、様々な経過を経て先送りになったことはさきに述べたとおりです。  そして、先送りを決めた「新たな入学者選抜制度導入に係る今後の対応について」の議案は、2020年1月16日に開催された第1059回教育委員会定例会で論議されました。議事録には、先送りについて淡々と議事が進められたことが記載されています。教育長以外の教育委員のうち1名が欠席しておられました。残り4名のうち3名が発言されています。先送りを了とする内容です。教育委員会の総意として決定したことであるが、先送りを好ましく思うというものです。  この間の県議会、保護者、教育関係者等の十分な議論が尽くされたとは言い難い第二次案に反対する意見を考慮すれば、当然の帰結とも言えます。しかし、教育委員会の決定の重さを考えると、いささか拍子抜けの感があります。以上を踏まえ、教育委員会における議論は十分と言えるのか、教育長にお伺いいたします。  続いて2点目です。  教育長は、今2月定例会の議案説明要旨において、昨年9月に第二次案を公表し、県議会をはじめ多くの皆様から御意見をいただきました。そうした御意見を踏まえ、新制度の導入時期を令和4年度選抜から令和6年度選抜に変更すると淡々と事実経過だけを述べられています。  今回の新たな公立高校入試制度改革の紆余曲折は、結果として受験生、保護者に大きな不安を抱かせることとなりました。私は、率直に謝罪が必要と考えます。教育委員会を代表する教育長として、その責任についてどう受け止められていますか。お伺いいたします。  3点目です。  県内の中学校、高校で教鞭を執るとともに、県教育委員会にも勤務し、平成18年10月から平成25年3月まで2期6年半にわたって教育長を務められた山口元教育長の著書である「信州教育に未来はあるか」は、教員として、また、教育行政に携わった著者が、教育関係者や教育に関心を寄せる県民に送ったエールであると自ら後書きで述べています。「信州教育に未来はあるか」という挑戦的な題名ですが、原山教育長もお読みになったと伺いました。発刊から5年が経過していますが、まだまだ内容は色あせていないと思います。この本を読んでの率直な感想と受け止め、参考になる点はありましたか。  いじめや不登校、未成年の自殺、学力低下、教職員の非違行為等々の厳しい現状に日々向き合っておられるわけですが、かつて教育県と言われた信州教育の未来をどう考えますか。教育長にお伺いいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、入試制度に係る教育委員会での議論についてのお尋ねでございます。  入学者選抜制度の検討につきましては、昨年9月に第二次案を公表し、県議会をはじめ多くの皆様から様々な御意見をいただきました。昨年12月の教育委員会定例会では、その状況を報告するとともに、これを踏まえて今後の対応方針を次回の教育委員会で明らかにする旨を報告したところであります。これを受けて、本年1月の教育委員会定例会において検討事項の整理と今後の対応方針について議論したところであります。委員には事前に資料を送付するとともに、質問があれば丁寧に説明したところでございます。その上で、定例会において検討していただき、教育委員会として決定したものであり、必要な議論は行われてきたものというふうに考えております。  続いて、受験生、保護者に不安を抱かせる結果となったがその責任についてどう受け止めるかという質問であります。  新たな入学者選抜制度を検討するに当たっては、県教育委員会としての考え方を示した上で、学校関係者、生徒、保護者等から御意見をいただき、制度を構築していくことが必要だというふうに考えております。そうした考え方に立ち、第一次案、第二次案について説明会等を実施する中で御意見を頂戴し、段階的に丁寧に検討を重ねてきたところであります。  お答えしたとおり、本年1月の教育委員会定例会において必要な議論を経て今後の対応方針を決定したところでありますが、入試制度を変えるということは、及ぼす影響も大きいことから、より慎重かつ丁寧に進めていくことが重要であるというふうに考えております。  現時点では、いただいた様々な御意見を取り入れながら制度を策定する一つの段階であり、今後もその一つ一つを積み重ねてよりよい制度となるよう県教育委員会として取り組んでまいりたいというふうに考えております。  「信州教育に未来はあるか」についての所感と信州教育の未来についてというお尋ねであります。  山口元教育長の著書では、御自身の教員経験から、具体的な現場の様子を取り上げるとともに、教育長としての豊富な行政経験を生かした課題解決のための提言が盛り込まれているというふうに感じたところであります。  また、今まさに我々が取り組んでいる教員主導の教育から生徒主体の学びへの転換や、新しい高校教育をつくるための高校再編の必要性についても研究されているところであり、学びの改革を進める上で大変参考になるというふうにも思っております。  信州教育の未来についてのお尋ねでありますが、この本では、明治初期に他県に先駆けて最新の教育理念や教育方法を取り入れた当時の様子から、長野県が時代に対応した学びを求め、実践を重ねてきたことにも触れておられます。  風間議員の代表質問で御答弁申し上げましたとおり、こうした信州教育の特質を土台として、Society5.0といった変化の激しい予測困難なこれからの社会にあって、子供たちが幸福で充実した人生を送るための力を育む信州教育を目指してまいりたいというふうに考えております。       〔12番池田清君登壇〕 ◆12番(池田清 君)私は、率直に、保護者そして受験生に対してやっぱり何らかのメッセージが必要ではないかというふうに思います。教育委員会における活発な議論を期待いたします。  最後に、丹波島橋の渋滞解消について2点建設部長にお伺いいたします。  昨年6月定例会における私の丹波島橋の渋滞解消についての質問に対し、建設部長は、長野市、長野県、県警の3者で丹波島橋の渋滞解消に関する研究会を立ち上げ、渋滞解消に向け研究してまいりたいと答弁されました。昨年9月に研究会が立ち上がったとお聞きしますが、進捗状況について建設部長にお伺いいたします。  次に、五輪大橋の無料化についてお伺いします。  長野大橋の下流に造られておりますこの五輪大橋ですけれども、1996年12月25日から供用が開始され、30年間の償還期限が2026年12月25日に切れます。丹波島橋、そして長野大橋の車両を迂回させることによって渋滞の緩和に有効的であるというふうに思います。五輪大橋の無料化を早期に実施すべきと考えますが、建設部長の見解をお伺いいたします。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)丹波島橋の渋滞解消についてのお尋ねです。  丹波島橋を含む犀川渡河部の渋滞対策については、長野市、県、県警察本部が参画する丹波島橋渋滞解消に関する研究会を昨年9月18日に立ち上げたところです。第1回研究会では、令和元年度において、ハード対策としては荒木交差点の部分的な改良に関する調査と渡河部橋梁に関する課題の整理、ソフト対策としてはバスロケーションシステムの稼働とエコ通勤実証実験の実施について確認をしました。  このうち、ハード対策については、現在調査、検討を継続しており、また、ソフト対策については、バスロケーションシステムが稼働している一方で、11月に予定しておりましたエコ通勤実証実験については台風19号の災害の影響により見送りとなっております。こうした状況を踏まえ、第2回研究会を新年度のできる限り早い時期に開催し、令和2年度の取組を協議して対策を前進させてまいりたいというふうに考えております。  次に、通過交通の分散を図るため、五輪大橋を無料化すべきではないかとのお尋ねでございます。  丹波島橋の利用交通は、長野駅及びその周辺を目的地としているものが多く、犀川より南側から長野市中心部へ至る通勤交通が橋に集中していることが渋滞の原因と認識しております。一方で、五輪大橋につきましては、長野市中心部へ向かうにはいささか不便な道路となっておりまして、五輪大橋の無料化が丹波島橋の渋滞問題に対し直接的な効果があるとは考えておりません。  また、平成29年度に長野県道路公社が管理する有料道路全体の一般道路化を検討する中で、県の財政負担と経済波及効果を比較したところ、白馬長野、志賀中野及び五輪大橋につきましては、著しい投資効果が確認されませんでした。このことから、五輪大橋は当初の料金徴収期間満了時である令和8年12月に一般道路化する方針としているところでございます。  以上でございます。 ○議長(清沢英男 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時48分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(荒井武志 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  清水純子議員。       〔29番清水純子君登壇〕 ◆29番(清水純子 君)新型コロナウイルス感染者が県内で出てしまいました。県におかれましては、迅速、的確な対応をぜひお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  昨年の台風19号における我が県での甚大な被害の教訓から、大規模災害に対して現場の正確な情報を関係者が共有し、的確な判断の下、適切な対応をすることが重要であり、今後さらに求められております。  今日、ICT(情報通信技術)の進歩により、被災現場の様々な情報をリアルタイムで収集し、活用することが可能になっており、住民の安全を確保し被害を最小限に食い止めるためのICTの利活用を積極的に進めるべきであると考えます。  内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムにて、基盤的防災情報の流通ネットワークが開発されております。これは、被害が想定される地域や被災した現場の様々な情報を迅速に整理をし、電子地図上に表示するものであり、平成31年から内閣府の防災担当が運用している災害時情報集約支援チームで本格的に運用を始めております。
     この活用により、刻々と変化をする被害推定情報を地図上で表示し、地域ごとの避難指示等の発令が適切に進められます。また、避難所の避難者数、道路の通行止めの箇所、給水拠点などを同じ地図上に表示し、物資支援等の配布に際して適切な巡回ルートを選定することもできます。さらには、災害廃棄物の収集においても、緊急集積所、集積拠点、一時保管場所、通行止めの箇所等の情報を地図上で表示することでスムーズな災害廃棄物の移動を可能にします。  今回の台風19号において、災害時の被害を最小限に抑えることとともに、的確な救援と迅速な復興を進めるためのICTの活用を含めた情報の共有は、長野県としてどのように図られたのか。また、見えてきた課題はどうか、お聞きいたします。  災害時に迅速に情報を収集し、リアルタイムで関係機関と情報共有するためのさらなるシステムの構築も重要です。例えば、災害の発生が想定される場面で現場の情報をリアルタイムで安全に確認するために、また、発災直後、近寄ることができない被災現場で救助を求める人の捜索や被災現場の状況把握を迅速に進めるために、ドローンの消防本部等への配置も有効です。  また、公民館や学校の体育館等の指定避難所での避難生活が長期化するケースにおいて、刻々と変化をする避難所の最新情報をリアルタイムでネットワークにつなげるための体制整備も効果的だと考えます。  加えて、地域で災害が発生した場合、地元の建設業の皆様が真っ先に復旧のために被災現場に駆けつけていただいておりますし、災害廃棄物処理のために産業廃棄物処理業の皆様も迅速に対応してもらっております。  このように、災害時応援協定を結んでいる業界団体からの現場の情報は正確であり、信頼性の高いものであると考えます。よって、スマートフォン等を活用しながら、災害時応援協定を結んでいる業界団体の情報を共有するシステムの導入も大変有効だと考えます。今回の教訓も踏まえ、住民の安全を確保し、被害を最小限に食い止めるための災害情報共有のICTを活用した県の今後の取組方針をお聞きいたします。以上、竹内危機管理部長にお聞きします。       〔危機管理監兼危機管理部長竹内善彦君登壇〕 ◎危機管理監兼危機管理部長(竹内善彦 君)私には2点御質問をいただきました。  まず、台風第19号災害におけるICTの活用を含めた情報の共有と課題についての御質問です。  災害発生時においては、迅速かつ効果的、効率的に災害対応を行う必要があり、そのため、県では、県、市町村及び防災関係機関等における一元的な災害情報の共有を目的として、平成28年度に防災情報システムを構築し、平成29年1月より運用を開始してまいりました。  また、議員から御指摘がありました国の基盤的防災情報流通ネットワーク、SIP4Dを運用する災害時情報集約支援チーム、ISUTに昨年度から本県の地震総合防災訓練に参加をいただき、情報共有の強化に努めてまいりました。  今回の災害では、ISUTに発災直後から県の災害対策本部に常駐いただき、複数の情報を連携させ、地図情報による被害情報や「Operation:One Nagano」における災害廃棄物の効果的な移動の視覚化などで活用をいたしました。  一方で、今回の災害で、あらかじめどのような情報をどのように集約するかについて整理する必要があったことなど課題もありましたことから、今後、訓練の中で改善を図り、より効果的なICTを含めた情報共有に努めてまいります。  次に、ICTを活用した県の今後の取組方針についての御質問でございます。  御指摘のように、応急復旧を行う業者や避難所を支援する団体など現場からの被害や必要な支援の情報をICTを活用してリアルタイムに共有することができれば、より効率的かつ適切な災害対応が可能になるものと考えております。  現在、内閣府では、SIP4Dによる地方公共団体や防災関係団体等が有するシステムの連接の取組を進めているところでございます。県といたしましては、この国の動向に歩調を合わせ、本県の防災情報システムの連接に取り組むなど、災害対応へのICTの活用を進めてまいります。       〔29番清水純子君登壇〕 ◆29番(清水純子 君)さきの一般質問にて、加藤議員から、災害時に住民へ確実に届く情報発信について御提案させていただきました。あわせて、災害現場の正確な情報入手と、的確な判断を行うため、最先端技術を積極的に活用した県の災害情報のさらなる共有をお願いしたいと思います。  続いて、2018年、全国児童相談所に寄せられた児童虐待対応件数は、前年度より2万件以上も増え、15万件を超えております。調査開始後の28年間連続で過去最多を更新し続けております。19年に警察が虐待を事件として摘発した件数も過去最多の1,957件となり、前年度比41.8%増に上ったというふうに発表されたところであります。そして、2017年度には、虐待によって50人を超える子供たちが命を落としているのも現状であります。とりわけ悲惨な児童虐待死事件が一昨年3月に東京目黒区で発生し、政府は緊急総合対策を取りまとめました。しかし、10か月後には千葉県野田市で女児が虐待で亡くなるという痛ましい事件が発生しております。  再発防止策が急務な中、昨年6月、親等による体罰の禁止や児童相談所の体制強化策などを定めた児童福祉等改正法が成立しました。先日も、神戸市において、夜間に助けを求めてきた小学生の女児を追い返すという児相のあるまじき対応が問題となりましたが、改正法の趣旨から、長野県の児童相談所の機能強化について質問をさせていただきます。  初めに、児童相談所の職員が保護者との関係を考慮して子供の保護をためらうケースがあることから、虐待が疑われる家庭から子供を一時保護する介入を担う職員と保護者への支援を行う職員を分けるなどの措置を講じるとしております。児童相談所における介入と支援についてどのような課題があるのか。また、その課題解決に向けた県の対応をお聞きいたします。  その上で、専門的知見に基づいた判断が下せるために、医師と保健師の配置のほか、弁護士が常に助言ができる体制の整備が求められております。各児童相談所の医師、弁護士等の現在の配置状況と、体制強化に向けて常勤配置の必要性について見解をお聞きいたします。  体制強化の要と言える児童福祉司の配置基準も、令和4年4月1日までの見直しが求められております。県では、来年度、9名の児童福祉司の配置を行うとしておりますが、今後の児童福祉司の配置計画とその確保についてお聞きいたします。  児童相談所の管轄区域についても、今後、地理的条件、人口、交通事情、その他の社会的条件に合わせて都道府県が基準を定めることとしております。  現在、県内五つの児童相談所が設置されておりますが、広範囲の地理的事情による移動時間の課題や、小規模町村を含む多数の市町村との連携等、職員の負担も大変大きいと思われます。子供の命を守ることを何より第一に捉え、そして、全ての子供が健全に育成される環境の構築のための児童相談所の管轄区域の検討を県としてどのように進めていくのか、お聞きをいたします。  私の地元上田市では、中央児童相談所から年間200回ほど、片道1時間半の時間をかけて訪問、相談支援を受けております。もちろん、児相の設置を強く求めるものでありますけれども、現在における業務負担の軽減と効率化の観点から、上田地域への児童相談所の分室の設置と措置決定権者の配置を強く求めますが、県の御所見をお聞かせください。  児童虐待防止、社会的養育の推進の観点から5点お聞きします。  虐待を受けた、また、そのおそれのある子供や保護者等の家族に対して心理的側面からケアを行うことにより、虐待の再発防止及び子供の福祉向上を図ることは重要です。よって、保護者支援のための計画の策定や保護者の指導を行う人材の養成が重要と考えますが、現在の取組と今後の推進についてお聞きいたします。  家庭養育優先の観点から、里親養育支援体制のさらなる充実も求められます。長野県では、里親委託率の推進を図る中で、体制強化の取組にも力を注いでいただいていることは承知をしております。  来年度、里親委託前に子供と里親の交流や関係調整を十分に行えるように、この間の旅費の費用に対する補助が創設されるとしております。また、委託措置費用も、これまで2人目の委託における措置費が1人目の半額とされていたものが、今回、2人目は満額となります。これにより、現在既に良好な家庭環境の中で養育を行っていただいている里親さんに、もちろん希望によってですが、安心して2人目の委託を依頼できる環境も整いつつあると思います。長野県の里親委託率のさらなる向上に向け、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。  里親の広報やアセスメント、里親への研修や相談、子供と里親家庭とのマッチングと、子供にとって質の高い里親養育がなされるための様々な支援を行うフォスタリング機関による24時間体制の整備の必要性と、対象地域の拡大に向けた今後の見通しについて見解を伺います。  児童養護施設等を退所した子供が自立をするための支援は十分ではありません。社会に出て困ったときやさみしいときに安心して帰ってくる場所がないとの声も聞きます。もちろん、退所した施設は受け入れてはくれますが、自立を見守るための退所者が集まり、そして意見交換を行えるような、そういう場の提供も必要と考えます。児童養護施設等を退所した子供への自立に向けた継続的、包括的な支援体制の構築について御所見を伺います。  最後に、本年4月施行の改正児童虐待防止法に盛り込まれた児童の権利擁護の観点から、親権者等による体罰の禁止が施行されます。これを踏まえ、厚生労働省の有識者検討会は、体罰に当たる行為などを示した指針、「体罰等によらない子育てのために~みんなで育児を支える社会に~」を取りまとめました。体罰の定義については、子供へ身体の苦痛や不快感を与える行為と明記して、具体的に、言うことを聞かないので頬をたたく、友達を殴ってけがをさせたので同じように殴るなどを挙げております。  4月の施行に伴い、法改正の内容や、これを踏まえて国の検討会が示したこの指針を県民に広く周知する必要があります。周知をするに当たり、県は、子供の成長、発達に悪影響を与える子供の体罰をどのように捉えて県民に広げていくのか、お聞きいたします。  一方、体罰禁止の目的は、親を罰したり追い込むことではなく、体罰によらない子育てを社会全体で推進することだとも強調しております。妊娠期から子育て期にわたる総合的な相談や支援、子供を見守る地域づくり等、体罰・虐待防止対策の主たる役割を担う市町村の取組への支援と連携を県としてどのように行っていくのか。以上を増田県民文化部長にお聞きいたします。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)児童相談所の体制強化等について10点御質問をいただきました。順次お答えを申し上げます。  まず、児童相談所における介入と支援における課題でございますが、介入と支援の両方を同一職員が行った場合に、介入の際に保護者との関係性が損なわれるということを懸念してちゅうちょするおそれがあること。また、ちゅうちょなく介入を行った場合に、その後の支援が円滑に進みづらいといったケースがあるといった課題がございます。他方で、同一職員が関わることで、一貫した支援を行えるという面もございます。  その対応についてですが、本県では、以前、介入と支援について担当者を分ける対応を試行したことがございます。その際の現場の声といたしましては、介入でございます一時保護の際に今後の見通し等を保護者に丁寧に説明して、保護者との関係を築いて支援を引き続き担当した場合のほうが円滑に行われる場合が多いというものだったため、現在は同一担当者が行う体制に戻しております。  今回、御指摘がございましたように、児童虐待防止法の改正により、介入と支援を行う職員を分ける等の措置を講ずるものとされましたので、過去の取組や他県の状況等を踏まえまして、より望ましい体制について児童相談所長の会議等で議論を進め、令和2年度中を目途に方針をまとめてまいりたいと考えております。  2点目の医師、保健師、弁護士の配置状況、常勤配置の必要性についてでございます。  医師につきましては、5か所の児童相談所に小児科、精神科の医師13名を非常勤職員として配置しています。保健師につきましては、常勤3名を中央児相、松本児相及び児童相談所広域支援センターに配置をし、支援センターの保健師は、飯田、諏訪、佐久の児相の支援業務を行っております。  弁護士につきましては、広域支援センターに非常勤の弁護士を1名配置いたしますとともに、全ての児童相談所において地元弁護士とアドバイザー契約を締結し、助言、指導を受けることが可能な状況となっております。  医師、弁護士の常勤配置の必要性につきましては、現在、案件に対し必要な対応を取ることができておりますことから、必ずしも必要ではないと捉えております。引き続き的確な対応、助言等が行われるよう努めてまいります。  三つ目の児童福祉司の配置計画と確保についてでございます。  児童福祉司の配置につきましては、国の児童虐待防止対策体制総合強化プランにおきまして、令和4年4月までに人口4万人に1人から3万人に1人に引き上げることとされております。本県では、この新たな基準に基づきまして、令和4年までの3年間で計画的に増員していくこととしておりまして、来年度は、御質問にございましたように、9名を増員する予定でございます。今後の児童虐待相談件数の状況等により配置数に変動はございますけれども、現時点におきましては、この9名と同程度の増員を令和3年度、4年度と行っていくことが必要と試算しております。  児童福祉司の確保につきましては、30年4月の採用から、一般選考に加え、社会人経験者を対象とした選考を実施し、本年度はこの社会人選考を2回行うなど、即戦力となる人材の確保に努めております。新年度に向けましては、所要の人員を採用できる見込みでございますが、引き続き人材の確保に努めてまいります。  次に、児童相談所の管轄区域の検討等についてでございますが、昨年6月の児童福祉法の改正、これは令和5年4月施行となってございますけれども、今後国が示します地理的条件、人口、交通事情その他の社会的状況を考慮した児童相談所の配置基準を参酌して都道府県が児童相談所の管轄区域を定めることとされました。  現時点においては、国からこの基準についての考え方はまだ示されておりません。他方、県では、昨年11月から1月にかけて、10広域圏ごとに児童・家庭相談体制の強化に向けた地域懇談会を開催し、市町村や児童福祉施設、里親会等の皆様から児童相談所との連携や機能強化について様々な意見をいただいたところでございます。今後、地域懇談会の意見、国から示される参酌すべき基準等を踏まえ、本県の状況に適した児童相談所の配置基準を策定し、管轄区分を検討してまいります。上田地域への分室設置等について御意見を頂戴いたしましたが、この県全体の管轄区域を定める中で検討してまいりたいと考えております。  五つ目、保護者支援のための計画作成について、また、指導を行う人材の養成についてでございます。  児童虐待の再発防止におきましては、保護者に対して体罰によらない子育ての方法や児童心理の理解を深めるプログラムを計画的に提供していくことが極めて重要と認識してございます。  本県独自の取組といたしまして、保護者や児童に対し、アセスメントに基づく自立支援計画等を策定して支援していく家族関係支援プログラムを導入し、児童の家庭復帰を支援しているところであります。  人材育成につきましては、児童相談所の職員が国等が主催いたします専門的な研修を定期的に受講するとともに、その内容について所内で復命研修を行い、直接研修を受講しない職員も含め資質向上に努めているところです。  また、ベテランの職員を経験の浅い職員のスーパーバイザーとして配置しておりまして、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの中で実践的な手法の伝達を行っております。  六つ目の里親委託率の向上に向けた取組についてでございます。  県は、昨年9月に、五つの児童相談所ごとに里親委託等推進委員会を立ち上げました。この委員会で、地域ごとに里親委託率の目標数値を定めるとともに、委員会を構成します児童相談所、乳児院、児童養護施設、ファミリーホーム、地区里親会、市町村などの関連機関が連携いたしまして里親委託を推進していくこととしております。  さらに、来年度は、各児童相談所に里親支援を専門に行う担当職員を配置いたしますとともに、乳児院や児童養護施設において入所児童の里親委託を推進する里親支援専門相談員が2名増員されております。お互いの連携を強めながら里親委託を推進してまいります。  次に、フォスタリング機関における相談体制整備の必要性、今後の見通しでございます。  県では、昨年度から、うえだみなみ乳児院へ里親の新規開拓、研修、養育支援など一連のフォスタリング業務を委託するとともに、受託里親からの養育等に係る相談について24時間体制による対応を行っているところでございます。里親のリクルートから里親委託後の養育相談まで、継続的な支援に積極的に取り組んでいただいておりまして、成果に結びついているものと認識しております。  拡大に向けた今後の見通しということでございます。  この24時間相談体制を含めた包括的な里親支援業務の委託は効果的な手法であると認識しておりますが、本年度が2年目でございますので、成果や費用対効果、課題等をさらに検証してまいります。  また、平成28年度の児童福祉法の改正により、児童相談所の本来業務として里親に対する支援業務が位置づけられたことも踏まえまして、先ほども申し上げましたように、児童相談所の里親支援機能の向上を図るとともに、関係機関と連携して地域におけるフォスタリングの向上を図ってまいります。  8点目、施設を退所した児童への自立支援についてでございます。  退所後の子供の自立支援につきましては、本年度から児童養護施設退所者アフターケア促進事業と名づけた事業を創設いたしまして、児童と信頼関係が構築されております児童養護施設の職員によるサポートの充実を図っているところです。  具体的には、退所後に住居等を訪問し、悩みや問題を抱えている場合には、就学・就労先等に対してその状況や育成環境などを丁寧に伝えて確実な支援につなげていくといったサポートに対して助成しているものでございます。  また、退所後に意見交換等を行える場の提供につきましては、今年度、県内2か所で施設や里親で養育経験のある子供を対象とした意見交換会を実施したところでございます。今後も、意見交換等が行われる場の提供や退所後のサポートなど、継続的、包括的な支援体制の構築に努めてまいります。  9番目、体罰をどのように捉え、体罰禁止をどのように周知していくかという御質問でございます。  御質問がございましたように、児童虐待防止法の改正により体罰の禁止が盛り込まれ、厚生労働省において、2月20日、体罰としつけの違いを示すガイドラインとも言える「体罰等によらない子育てのために」が公表されたところでございます。そこにもございますように、子供の心身に苦痛を引き起こす行為は体罰であり、結果として子供の健やかな成長、発達等に悪影響を及ぼすおそれがあるものと捉えております。また、法改正の背景となった児童虐待となるしつけを口実とする体罰を根絶していかなければならないと考えております。  なお、この体罰禁止の法制化の目的は、御質問にございましたように親を追い込むことではなく、体罰によらない子育てを社会全体で推進することにあるとの認識が重要と捉えております。体罰禁止の周知は、国において発表されたガイドラインを活用しつつ、児童相談所や市町村関係者、また教育委員会とも連携をして周知し、社会全体で認識を深め、共有し、体罰によらない子育てを推進してまいりたいと考えております。  最後に、市町村への取組の支援と連携についてでございます。  市町村は、子供や家庭に対し、身近な場所で継続的に支援をしていく重要な役割を負っておりますことから、平成28年の児童福祉法の改正により、子ども家庭総合支援拠点の整備が求められているところです。この総合支援拠点は、専門的な機関や関係者とネットワークを形成いたしまして、子供、家庭全般の支援を行うとともに、要保護児童等に対し児童相談所などと連携して支援を行っていく地域の中核となるものでございまして、大変重要な役割を果たすものと考えております。  県では、これまでも市町村に対する研修などを実施してきたところですが、来年度は、新たに各児童相談所に市町村支援の担当者を配置いたしまして、市町村と連携を強めるとともに、早期に子ども家庭総合支援拠点が設置されるよう技術的な支援も行ってまいります。  以上でございます。       〔29番清水純子君登壇〕 ◆29番(清水純子 君)虐待をする親の口からは、しつけという言葉を称して暴力、虐待を行い、自分の子供を自分の持ち物のように子供の命を奪うという現状があるわけであります。私たちは、しつけのために子供をたたくのは仕方のないことという今までの子育て観を廃し、体罰は子供の成長、発達に大きく悪い影響を与える、その意識転換をしていくことが必要である、そんな時代に入っております。  知事も、今回は質問をしなかったわけですけれども、全ての子供の安全な居場所の確保のために、そして、体罰によらない子育てと子供の権利が守られる社会の構築に向けて、様々な場面において県民への発信をお願いしたいと思っております。以上で質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(荒井武志 君)次に、大畑俊隆議員。       〔19番大畑俊隆君登壇〕 ◆19番(大畑俊隆 君)木曽郡選出の自由民主党の大畑俊隆でございます。通告に従いまして順次質問をさせていただきます。本日は3項目について一括質問をいたします。  それでは、まず1項目めとして、御嶽山ビジターセンター整備事業についての質問をいたします。  御嶽山噴火は、2014年9月27日午前11時52分に発生しました。当時、私は、御岳ロープウエイの運営責任者として、噴火に見舞われ火山灰をかぶった登山者の皆様をセンターハウスで受け入れ、その対応に追われたという記憶が今でも鮮明に残っております。そして、この御嶽山の噴火は、58名の死者と5名の行方不明者を出す戦後最悪の噴火災害になりました。当日登山をされた方々は、御嶽山が活火山であるという認識はなく、むしろ御嶽山の魅力そのものに心を奪われ、ひたすら剣ヶ峰3,067メートルの頂上を目指していたことと思います。それにしても、この噴火により小学生の小さな命まで奪ってしまったことについては、無念であり、自然の猛威を恨むしかありません。  噴火から5年、この間、長野県、木曽町、そして地元王滝村の御努力により、登山道整備や安全確保を図るための様々な対策が迅速に講じられてきました。また、阿部知事におかれましては、常に御遺族に寄り添いながら木曽の復興に御尽力いただいてきていることに敬意と感謝を申し上げます。  火山と共生する地域として、御嶽山を知り、火山を理解し、次世代につなげることをコンセプトに整備される今回の御嶽山ビジターセンターについて、木曽地域の期待は非常に大きなものがあります。特に、県が山エリアとして今回整備を進める王滝村は、人口700人余り。財政状況も厳しいことから、県の取組に感謝する次第であります。  そこで、県が建設する王滝村の山エリアと木曽町が建設する三岳の里エリアの二つのビジターセンターは、整備主体は異なるものの、御嶽山噴火災害からの復興、そして木曽谷全体の地域振興へとつなげるために極めて重要な事業と考えますが、両施設をどのように生かしていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  昨年12月3日の一般質問の際、風間議員からの質問に、阿部知事は、今回のビジターセンターについて、御嶽山の噴火災害の記憶と記録をしっかりと伝承していく場にしなければならないと思う。そして、火山防災の知識を普及していく場であることが必要である。また、御嶽山は自然豊かな場であり、これまでも様々な文化を育んできたことから、御嶽山の魅力を発信し、そうしたものを学べる場であることも重要であると答弁されました。  今回建設する二つのビジターセンターについては、二度とあのような惨状を起こさぬように、観測機器の充実や地震予知研究の精度を上げ、常に現場の情報をリアルに伝え、火山マイスターの皆様や山小屋との連携も強化して登山者への注意を促していく施設となるように、また、今回の御嶽山噴火についての惨状や自然への畏敬の念を抱かせる施設づくりと併せて、観光案内機能や休憩施設を入れた拠点となるように整備事業を進めてほしいと切望いたします。  現在、木曽町三岳に名古屋大学の火山研究施設があり、2か所のビジターセンターとの連携強化が必要不可欠になってくるものと考えます。この施設運営においては、県より毎年1,000万円の運営費の支援を受けています。今後は、木曽町の三岳の里エリアのビジターセンターにこの研究施設機能を入れ、火山マイスターの方々の協力を得ながらより精度の高い情報をお客様に提供していくことが重要であると考えます。  そこで、ビジターセンターの里エリアの整備に当たっては、この研究施設を移設し、県が運営経費の支援などを行うなどしてより充実させていくことが必要であると考えるが、この施設の在り方についてどのように考えているか、知事の御所見をお伺いします。  標高2,180メートルに建設する山エリアのビジターセンターは、県立自然公園としては初めての取組であり、その利用促進については、施設及び周辺の環境整備が重要であると考えます。そこで、県立自然公園である田の原周辺の保護と利用を図るため、今後、ビジターセンター周辺の遊歩道や休憩施設などの整備においては、土地所有者である林野庁や地元王滝村と協議を進めながら県としてどのように支援していくのか。また、そのロケーションから、眺望テラス、食堂など観光促進機能を充実させることでより一層集客力を上げるものになると考えるが、いかがか。高田環境部長にお伺いをいたします。  続いて、2項目めとして、リニア中央新幹線について質問をいたします。  知事の新年度の県政運営に向けての所信の中で、リニア中央新幹線については、その開業が地域の発展に資するものとなるよう、伊那谷地域の経済団体等との連携を図り、リニアバレー構想の実現に取り組むとともに、その効果を広く波及させるために関連道路の整備を推進していくと説明されました。  このリニア中央新幹線開通において、移動時間の短縮という観点から移住交流及び関係人口の増大、観光振興、知の拠点づくり、産業振興をもたらし、特に長野県南部の地域振興にとって、北陸新幹線同様の、またそれ以上の効果をもたらすことが期待されるため、今後県としてリニア中央新幹線の取組は極めて重要になると考えます。  長野県リニア活用基本構想では三つの交流圏構想を掲げ、長野県駅の飯田を拠点とした伊那谷交流圏、長野県駅、山梨県駅、岐阜県駅の三つの駅からなるリニア3駅活用交流圏、そして、長野県全域を対象とする本州中央部広域交流圏という三つの重層的な交流圏を構築することにより、交流人口の拡大などリニア整備の効果を最大限発揮させることが可能になるとしています。  長野県駅が設置される飯田・下伊那地域及び長野県駅に近い上伊那地域は、このリニア開通により、東京―飯田間が約40分、名古屋―飯田間が約20分と、劇的な時間短縮によって大都市圏及び世界へとつながる地域になります。そして、1時間圏域人口は23.5万人から約61倍の1,432万人になると予想されています。このリニア中央新幹線開通における時間短縮は、伊那谷、木曽谷、そして諏訪地域等々の交流人口の増大を促し、地域活性化に相当の効果をもたらすものと考えます。  そこで、三つの交流圏構想で最重要圏域と考える伊那谷交流圏において、県は、現在まで、国や市町村、各種団体、民間企業などと連携しどのような取組を進めてきたのか。また、飯田市が進めている長野県駅及び県が進めている周辺のリニア関連事業の進捗状況について坂田リニア整備推進局長にお伺いいたします。  長野県の広域観光推進において、伊那谷を東から西へと横断するリニア中央新幹線開通により、リニア長野県駅の飯田を拠点として南北に長い長野県の北や南の地域の観光スポットを訪ねる縦軸観光ルートの構築、また、山梨県駅の甲府から長野県駅の飯田を経て岐阜県の中津川に至る区間は各駅停車型リニアでも30分程度で結ばれるとされ、人の流動性は相当高まることが予想されることから、3県をまたぐ広域的な横軸観光ルートの構築にも取り組んでいくとしています。  また、リニア新幹線と北陸新幹線を生かし、首都圏から本県を訪れ、県内を縦断した後に異なる新幹線を利用して帰る周遊型観光ルートづくりも進めるとしています。まさに、リニア中央新幹線開通により県内全域の周遊観光がより促進されることが期待されます。  そこで、リニア中央新幹線開通により、山梨県、岐阜県、長野県をまたぐ広域観光が可能になるが、長野県駅を拠点とした縦軸観光ルート、横軸観光ルート等の構築の検討状況はどうか。また、伊那谷交流圏における観光促進の展開の方向性について中村観光部長にお伺いをいたします。  この観光ルートの構築には、長野県新総合交通ビジョンを踏まえた取組がますます必要となってきます。その将来像は、東日本と西日本、太平洋と日本海を結び、海外へと広がる本州中央部広域交流圏の構築を目指すとしています。  県内の交通ネットワークの充実は急がれていますが、リニア開通までには3県駅への道路整備も優先的に必要となり、また、そのアクセスのよさにより、広域的な交流が一層増大するものと考えます。そこで、今後、特にリニア3県駅の利用促進についてそれぞれのアクセス道路の整備をどのように進めていくのか、長谷川建設部長にお伺いをいたします。
     3項目めの質問として、移住及びつながり人口、国でいう関係人口の拡大について、3点、伊藤企画振興部長にお伺いをいたします。  総務省が公表した2019年の人口移動報告によると、東京圏は14万8,783人の転入超過となり、3年連続増加と、一極集中が加速しています。都道府県では、39道府県が人口流出に当たる転出超過となり、地方移住などを後押しする政府の地方創生は奏功していないのが実態となっています。  長野県も、ここ数年、社会増減の改善はありましたが、2019年は1,146人の転出超過に至りました。昨年度、長野県は、平成30年度に策定した信州暮らし推進の基本方針に基づき、移住の観点から、大都市圏での信州暮らしの魅力発信や仕事と暮らしをセットにした呼び込みを実施するとともに、地域活力の創出を目指すとして様々な事業を展開してきています。このように、人口減少が進む中、社会増に向けた様々な取組を着実に実行することが重要と考えます。  そこで、まず社会増となる移住についてでありますが、本県は移住したい県として常に上位にあり、その要因の一つとして、県や市町村が取り組んでいる移住支援の充実が言われております。また、各部局における移住施策の積極的な取組も評価するところであります。そこで、県として移住を推進させる取組の現状と課題、そして今後の取組についてお伺いをいたします。  国は、第1期総合戦略では人口減少対策と東京一極集中の是正の成果が出なかったため、第2期総合戦略において、地域における関係人口の創出・拡大、Society5.0未来技術の推進、SDGs、持続可能な開発目標の促進を打ち出し、なかなか進まなかった東京一極集中の是正のため、地方への人の流れを重層的な形で力強いものにしていくとしています。  地域から若者が都市圏へ流出することは、地域活力を低下させる最大の要因であります。地域と都市をつなぐことで都市圏の若者の柔軟な発想やシニアの知恵などが地域の住民と密接につながり、地域に新たな創造を生み出すものとなります。生産的で意味のある交流、すなわち、つながり人口、関係人口の拡大は、その重要性が一層高まってくるものと考えます。  長野県が、既にしあわせ信州創造プラン2.0においてつながり人口、いわゆる関係人口の推進に努めていることは評価するところであります。本年2月7日に、長野市で、都市部に住みつつ県内地域と関わるつながり人口の可能性を考える長野県主催の信州つながり人口フォーラムが行われました。そこでは、下伊那郡天龍村、木曽郡王滝村での今年度の事業が報告されましたが、地元の王滝村では、都会から若者が何度も来て、地元に対して民泊の促進や特産品の拡大、そして地域の開催するイベントにも参加し、そのイベントの開催ツアーの商品の開発も手がけていただき、地域に活力が生まれたと喜ばれ、評価もされました。  そこで、今後のつながり人口の拡大に向けた事業となる他地域も含めたこの事業の実施状況と事業の効果をどのように捉えているか。あわせて、事業実施地域への今後の県の関わり方と県内他地域での展開についてお伺いいたします。  地方と都市のつながりの構築を新たな目標にして、地域外からそれぞれの地域の祭りやイベント等に携わる人、副業、兼業で地域の企業やNPOで働く人、各種ボランティアとして参加していただいている方々のようなつながり人口の拡大については、県の関係部局、市町村との連携が必要不可欠と考えますが、この連携体制はどのようになっているか。また、その拡大に向けた取組の課題と今後の方向性についてお伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)御嶽山のビジターセンターに関連して私には2問御質問をいただきました。  まず、木曽谷全体の地域振興に向けた二つの地域、両施設をどう活用していくかという御質問であります。  新設するビジターセンターは、御嶽山噴火災害の記憶や教訓を世代を超えて広く県内外に伝えていくため、また、木曽地域全体の振興を図るために大変重要な施設であるというふうに考えております。  現在、木曽町と県におきまして、それぞれが整備する施設の基本計画案のパブリックコメントを行わせていただいているところであります。その中で、山エリアにつきましては、御嶽山を間近に見ることができる王滝村田の原に、「いのちを守る」、「火山を学ぶ」、「自然とふれあう」、この三つを主な目的として県が整備をしていこうというものであります。自然公園の玄関口において、多くの登山者や公園利用者を美しい風景や動植物などに触れ合う上質な自然体験へといざない、御岳県立公園の保護と利用の推進を図るための施設としていきたいと考えております。  一方の里エリアは、道の駅三岳付近に、観光情報の発信や地域交流の拠点、御嶽山火山マイスターの活動や人材育成、火山研究の拠点となる施設を木曽町において整備をしていく予定であります。未来を担う子供たちの学びの場となり、観光客など多くの人々が集い、交流が生まれ、地域づくりの核となることを期待しているところであります。県としても、展示内容の充実等に向け積極的に支援をしていきたいと考えております。  この二つの施設が一体として相乗効果を発揮し、噴火災害からの復興と地域の活性化に資するものとなるよう、地元自治体や関係者と一緒に取り組んでいきたいと考えております。  もう1点、名古屋大学御嶽山火山研究施設の在り方についての御質問でございます。  この名古屋大学御嶽山火山研究施設は、開設されてから2年半が経過しております。この間、御嶽山火山活動の観測、研究のほか、地元の小学校や公民館の学習会への協力、火山噴火を想定した防災訓練への参加、御嶽山火山マイスターへの助言など様々な場面で地元と連携したお取組をいただいているところでございます。名古屋大学からは、この研究施設を活用して御嶽山の観測、研究を続けるとともに、地域防災力向上に貢献していく方向であるというお考えを伺っているところでございます。  御嶽山ビジターセンター基本構想におきましては、木曽町が設置いたします里エリアのビジターセンターにこの研究施設を併設することを想定しているところでございます。県としては、地域防災力向上のためにはこの研究施設の存続が極めて重要であるというふうに考えております。必要な支援も含めた今後の研究室の在り方について、名古屋大学をはじめ、木曽町、王滝村とも協議を進めていきたいと考えております。  以上です。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)ビジターセンター周辺の整備と機能の充実についての御質問でございます。  御嶽山ビジターセンターの建設を予定する王滝村田の原には田の原天然公園があります。土地所有者である林野庁、地元の王滝村により自然に親しむ環境が整えられ、ハイマツ帯の散策や、北アルプス、八ヶ岳、中央アルプスの美しい山並みを楽しむことができます。しかしながら、御嶽山噴火災害以降、王滝口の利用者は、噴火前、平成25年の3割程度となっており、木道も老朽化によって再整備が必要な状況にあります。今後、林野庁には適切な管理を協議していくとともに、王滝村が管理する遊歩道、休憩施設などについては、村が行う整備を財政面、技術面から積極的に支援してまいります。  また、御嶽山ビジターセンターの機能充実につきましては、現在実施しているパブリックコメントの意見も踏まえ、実施設計においてより魅力ある施設となるよう検討し、御岳県立公園の優れた自然環境の保護と利用の推進に取り組んでまいります。  以上でございます。       〔建設部リニア整備推進局長坂田浩一君登壇〕 ◎建設部リニア整備推進局長(坂田浩一 君)伊那谷交流圏における多様な主体と連携した取組と、リニア長野県駅及び周辺の関連事業の進捗状況についてのお尋ねでございます。  まず、リニア中央新幹線を活用した地域振興につきましては、伊那谷自治体会議において議論を重ね、伊那谷交流圏における自治体間の共通の指針となるリニアバレー構想を策定いたしました。構想策定後は、広域観光や交流人口拡大の基盤となる2次交通の在り方などについても意見交換を行うなどしてまいりましたが、今後も構想を具体化するための官民が連携した取組を進めてまいります。  また、自治体職員を対象に、一般社団法人エコまちフォーラムと連携した自動運転に関する研修会を3回開催したほか、先月には、公民連携事業の専門家を講師に迎え、リニア開業を見据えたまちづくり講演会を開催いたしました。行政、経済団体等のほか、地域を担う若手経済人にも参加いただき、地域が主役となるまちづくりについて意識醸成を図ったところです。  このほか、隣接県である岐阜県及び山梨県とは、本年度から3県リニアに関する共同研究会を立ち上げ、3県で連携して広域的な二次交通や観光等についての研究を始めております。  次に、飯田市が進めている駅周辺整備ですが、学識者、地域代表、関係機関、これに県が加わったリニア駅周辺整備デザイン会議において検討が進められ、昨年12月には基本設計が完了し、実施設計の段階に進んでいく状況でございます。県では、駅周辺の関連事業として、国道153号飯田北改良工区の道路整備事業と県道市場桜町線の街路整備事業を順次進めております。また、長野県駅と座光寺スマートインターチェンジを結ぶ座光寺上郷道路の整備を進めており、本年度から用地買収に着手したところです。  今後も、引き続きソフト、ハードの両面から様々な主体と連携して、リニアの整備効果が広範囲に波及するよう鋭意取り組んでまいります。  以上でございます。       〔観光部長中村正人君登壇〕 ◎観光部長(中村正人 君)長野県駅を拠点とした観光ルートの構築状況と伊那谷交流圏の観光促進策について御質問をいただきました。  長野県駅を中心とした広域観光については、日帰り、宿泊両方のパターンで多様な観光ルートを提案していく必要があります。  まず、縦軸観光ルートについては、長野県駅から県内周遊をしてもらうことが大事であることから、現在、高速道路や信州まつもと空港、タクシー、JR等を活用した魅力ある観光地を周遊できるルートづくりを進めており、これらを長野県駅が開業した際に組み込めるようにしていくことを考えております。  横軸観光ルートについては、山梨、岐阜両県との共同研究会を設け、現在、アイデアを出し合いながら検討を行っているところであり、今後は、具体的に各県で連携可能な観光コンテンツを活用して、周遊性の高い商品を造成していくこととしております。  また、伊那谷交流圏における観光促進については、中央アルプス等の山岳観光、インバウンドに目を向けた伝統文化を生かした滞在プログラム、木曽地域を含めた周遊観光などを広域連携DMO等と連携しながら展開していく方向で考えております。  今後、長野県駅開業を見据え、こうした取組を加速化させてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)隣接県を含めたリニア3駅へのアクセス道路の整備についてのお尋ねでございます。  リニア活用基本構想におきましては、木曽、諏訪、松本などの県中央地域をリニア3駅活用交流圏と位置づけ、長野県駅に加えまして、岐阜県駅、山梨県駅の活用も視野に入れて取り組むこととしています。  まず、岐阜県駅へのアクセスルートですが、現在、木曽川右岸道路において計5工区で整備を進めており、リニア開業までの供用を目指し、国道19号の代替ネットワークの形成を図ってまいります。また、川向から県境までの未整備区間につきましては、ルート及び整備手法の検討を行っていくこととしております。  次に、山梨県駅へのアクセスルートでは、諏訪市、岡谷市、中日本高速道路株式会社による諏訪湖スマートインターチェンジが昨年の9月20日に連結の許可となりました。県といたしましては、来年度からスマートインターチェンジへのアクセス道路整備に着手する予定であり、リニア開業までには供用できる見込みです。  なお、長野県駅へのアクセス道路の整備状況につきましては、さきにリニア整備推進局長がお答えしたところでございます。  いずれのアクセス道路についても、リニア中央新幹線との相乗効果を広く県内に波及できるよう引き続き重点的に事業を進めてまいります。  以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)つながり人口の拡大について3問御質問をいただきました。  まず一つ目ですけれども、移住推進の現状と課題、今後の取組についてということでございます。  本県では、県、市町村、民間団体で構成する田舎暮らし「楽園信州」推進協議会を核といたしましてオール信州で取り組んでいるところでございます。  県外からの移住者数は、平成27年度の1,758人から平成30年度は2,315人で3割増となるなど、一定の効果が現れているものと考えております。しかしながら、令和元年の年間人口増減数は、転出超過が前の年を上回っており、やはり東京エリアへの転出圧力は収まらない状況でありますし、多くの産業で人材が不足していることなどを課題として認識しているところでございます。そのため、来年度、新たに首都圏の社会人に焦点を当てましたUIJターン就職フェアを開催するなど県内への呼び込みの強化を図ってまいります。  次に、つながり人口拡大のための事業の実施状況と効果、今後の県の関わり方などについての御質問です。  都会の人材を地域につなげ、地域の課題に協働で取り組む「信州つなぐラボ」を、今年度、王滝村と天龍村の2地域で実施いたしました。王滝村では、都市部から11人が参加しまして、塩を使わない漬物、すんきに焦点を当てまして、地域のお母さんたちと一緒にお弁当を考案してスキー場での販売に向けた活動などを行ってまいりました。また、天龍村では、国の重要無形民俗文化財に指定されています向方地区のお祭り、これは、高齢化により継承が危ぶまれているものですが、ここに若者が9人参加して舞い手として携わるなどの活動をしてまいりました。  いずれにしても、受け入れる側の住民の皆様にとっては、最初は戸惑いがありましたものの、山村の暮らしを通じた交流を重ねていく中で親しくなり、一緒に様々な活動を行うようになってきております。このつながりが今後も継続していくことを期待しております。  この2地域につきましては、県の予算事業については終了いたしますけれども、この事業によって生まれたつながりを今後は地域に身近な村が中心になって継続、発展させていけるよう県としてもフォローアップしていきたいと考えております。また、来年度は他地域でこの事業を実施することといたしまして、こうした取組を県内各地に広げてまいりたいと考えております。  最後に、つながり人口拡大に向けました連携体制と今後の課題、それから今後の方向性についてですけれども、今年度、関係部局によります庁内プロジェクトチームを設置し、効果的に取り組むために事業の連携や新規事業の検討を進めてまいりました。地域振興局や市町村との連携はまだ十分と言える状況にはございませんので、今後強化してまいりたいと考えております。  つながり人口は、その把握方法や評価指標の設定が難しいこと、また、取組が大変多岐にわたること、それから、地域とつながるきっかけづくりやつながりの継続などが課題と考えております。今後は、地域の活性化のための担い手の確保という視点で、先ほど申し上げました「信州つなぐラボ」を県内各地に広げてまいりますほか、働く場としての信州といった仕事に着目した取組で、信州リゾートテレワークや都市部の人材を兼業、副業により県内企業へとつなぐ取組も進めてまいります。あわせて、市町村、事業者等とも連携して受入れ体制の整備を進め、つながり人口の拡大を図ってまいります。  以上です。       〔19番大畑俊隆君登壇〕 ◆19番(大畑俊隆 君)知事並びに関係部局長の御答弁をいただきました。  まず、御嶽山ビジターセンターの整備事業については、ただいま知事から答弁がありましたが、災害の記憶と記録をしっかりと伝承していく場にすることが重要であり、また、登山者の安心、安全の拠点となるように整備事業を進めてほしいと切望いたします。  また、県立の自然公園では初めての県営施設であるため、その機能を十分に生かし、自然公園がより充実した公園になるように、そして、この施設が地域の活性化につながるようにその充実をお願いするところであります。  リニア中央新幹線開通まであと7年。長野県として、本州中央部広域交流圏推進の下、北陸新幹線、松本空港、そしてリニア中央新幹線と、移動時間が短縮されることの効果をどのように将来的に捉え、その効果を引き出していくかが重要となってきます。  また、グローバル化が加速され、インバウンドの拡大がさらに続くことが予想されるため、リニア中央新幹線開通がそれぞれの地域振興に役立つように効果的な施策を打ち出し、県民の生活の向上、そして、都市部から人材が確保できるよう、部局横断的な取組を積極的に行っていただくことをぜひお願いいたします。  長野県は、移住先で常に上位に選ばれる人気県であります。日本総合研究所の会長寺島実郎氏は、長野県への提言で、交流による地域活性化について生産的で意味のある交流を等身大のプロジェクトとして積み上げていく必要性を説いています。  今後の関係人口、いわゆるつながり人口の拡大は、まさに長野県が先行して取り組むべき重要な事業になり、長野県が人口減少社会とどのように向き合い、いかに人材を確保していくかが重要なテーマと考えるため、今回の質問をいたしました。さらに部局間の議論を深め、対応していくことをお願いしまして、私の一切の質問を終わります。 ○副議長(荒井武志 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時5分休憩          ──────────────────         午後2時21分開議 ○議長(清沢英男 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  石和大議員。       〔33番石和大君登壇〕 ◆33番(石和大 君)自由民主党県議団、石和大でございます。それでは順次質問をさせていただきます。  まず、公共工事の設計単価等の見直しについてお聞きいたします。  昨年の台風19号災害から4か月以上が経過しました。改めて亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、被災して住まいを失った方々をはじめ様々な被害に遭われた多くの県民の皆様にお見舞いを申し上げます。  さて、さきの台風は物的被害が大きく、堤防が決壊して大規模な浸水被害に遭った長野市長沼地区をはじめ、東北信地域で猛威を振るいました。発災後、国が先導して重機を駆使して決壊した堤防を仮復旧する作業は、連日の報道でも繰り返し放映されていましたので、記憶に新しい方も多いと存じます。  さきの定例会でも触れましたが、私の地元の海野宿の近くの堤防も、台風により増水した川の水の勢いで大きく削り取られ、海野宿自体が流されるのではないかと恐怖を感じました。知事が言うよりよい復興、ビルド・バック・ベターの復旧工事により、災害に強い町として生まれ変わることを切に願うところであります。  ほかにも、県は、山腹の崩壊や荒廃渓流箇所に対して再度の災害を防止するための対策工事等を実施するなど、復旧工事の案件を多数抱えています。緊急の工事のため、入札を実施せずに建設業者と随意契約で締結することになろうかと思います。一般的に、随意契約のほうが入札で契約するよりも高い利益率を確保できるものと認識していますが、五輪需要に加え、災害復興特需も重なる中、建設業者の皆さんは適切な利益をしっかり上げられているのかどうか少々危惧するところです。東京オリンピック需要等で建設関係の人件費や資材費が急騰しているという話は以前から耳にしています。いざというとき応急工事ができる建設業者が地元には残っていないという事態にならないように、建設業関連の事業者の皆様には持続的に会社運営をしていただくことが必要です。  そこで、以下の2点について長谷川建設部長に伺います。  災害復旧工事が本格化する中で、公共工事の適切な予定価格を積算する上で重要となる設計単価はどのように設定し、見直しをしているのでしょうか。また、災害復旧工事の発注が一時期に集中すると、労務単価や建設資材価格が急騰し、建設業者が受注しても利益につながらないということが懸念されますが、対策はあるのでしょうか。建設部長にお聞きいたします。  次に、オーラルフレイルについてお伺いいたします。  最近、フレイルという言葉が徐々に一般的な用語として認知されるようになってきたように感じます。フレイルとは、日本老年医学会が提唱した概念で、虚弱を意味します。人は、加齢に伴って心身の機能が徐々に低下し、徐々に要介護状態に陥っていきます。機能の低下自体は完全には止められませんが、低下の度合いを緩やかにすることは可能です。高齢期であっても生活の質を保ち、亡くなる直前まで生き生きと生活をしていたいものです。  2016年に内閣府が所管する一億総活躍国民会議でもフレイル対策は取り上げられ、中でも、栄養、口腔、服薬等の分野の強化を求めています。さらに、2018年には、厚労省による高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議の場においてもフレイル予防・対策の重要性が注目されています。  東京大学高齢社会総合研究機構の幾つかの研究により、フレイル予防のための三つの柱は、栄養、身体活動、社会参加の三つに集約されます。フレイル対策の中で特に重要なのは栄養であり、しっかりかんでしっかり食べることは健康を保つための基本であることに疑問の余地はありません。  そして、しっかりかむために必要なのは、自身の歯の存在です。県議会では、歯の健康は健康長寿県の確立を目指す本県にとって極めて重要なものであるとの認識の下、平成20年に歯科保健衛生対策議員連盟を立ち上げ、条例制定の検討を進め、平成22年に議員提案により長野県歯科保健推進条例が制定された経過があります。本条例は、歯及び口腔の健康づくりに関する施策を総合的に推進することにより、県民の健康の保持増進を図り、もって健康長寿県の確立に寄与することを目的としており、県民自ら歯及び口腔の健康づくりに努めることを基本理念に掲げています。そこで、条例制定から10年近くが経過しましたが、条例の成果と課題について土屋健康福祉部長に伺います。  我が国は、人生100年時代の到来が見込まれておりますが、全国トップレベルの健康長寿を誇る本県では、単に長生きではなく、健康で長生きの実現が大きな課題となっております。 近年、歯や口腔の健康に関しては、生活習慣病をはじめとする全身の健康と密接に関連し合っているとの認識が広がってきており、健康と要介護の間には筋力や心身の活力が低下するフレイルの段階があり、その手前では、口腔機能のささいな衰えであるオーラルフレイルの症状が現れます。フレイルから続く要介護状態に陥ることなく健やかで自立した暮らしを長く保つためには、オーラルフレイルの症状に早く気づき、対策を講ずることが必要と考えられますが、オーラルフレイルの課題解決に向けどのような取組を行っているのか、健康福祉部長に伺います。  現在、国や研究機関等により口腔の状態と全身疾患の関係の研究が進められており、歯や口腔の健康増進を進める上では介護予防の取組とも密接に関わるものと考えますが、今後、研究成果等を活用して、また、介護予防分野と連携してどのような取組や対策をしていくことが重要と考えているのか、土屋健康福祉部長に伺います。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)まず初めに、公共工事の設計単価の設定及び見直しの方法についてのお尋ねでございます。  県が発注する公共工事の設計単価のうち、労務単価については、国が調査する公共事業労務費調査により決定した単価を速やかに採用しており、直近におきましては、国が令和2年3月1日付で決定する単価について、県も同日付で単価改定を行う予定であります。  また、建設資材単価については、県が民間調査会社に業務委託した資材価格調査において取引実績を踏まえた実勢価格を調べ、毎年、年度当初に設定しています。  なお、生コンクリート等の主要資材については、毎月同調査において価格の変動調査も行っており、変動が確認されれば、年度途中におきましても随時改定を行っているところであります。  次に、設計単価の高騰への対策についてのお尋ねでございます。  予定価格を設定する上では、調査に基づく最新の設計単価を用いているところですが、工事が集中し、労働者や資材等の需要が高まり、工事着手後に設計単価が高騰することも想定されるところです。資材価格に著しい変動が生じ、請負金額が不適当となった場合の措置としては、契約上の規定により、変動後の価格に基づき請負額の変更を行うことが可能となっております。  また、台風19号の災害を受け、3年間に限り、地域内で労働者や資材等が確保できない場合に遠方からの労働者を確保するための宿泊費や交通費等、並びに、資材等を調達するための費用についても実績により変更計上できる取組を行っているところでございます。
     円滑な災害復旧工事の推進においては、適正な予定価格の設定及び設計単価の急激な変動に伴う柔軟な設計変更が重要と考えており、今後におきましても、設計単価の変動を注視しながら、適正な価格での契約に努めてまいる所存でございます。  以上でございます。       〔健康福祉部長土屋智則君登壇〕 ◎健康福祉部長(土屋智則 君)オーラルフレイルについて3点御質問をいただきました。  初めに、歯科保健推進条例の成果と課題についてでございます。  県では、同条例に基づきまして、県民の歯と口腔の健康増進のため、平成28年4月に長野県歯科保健推進センターを設置し、歯科保健実態調査の実施、市町村担当者向け研修会の開催、保険者団体等への出前講座の開催等に取り組んでまいりました。このような取組によりまして、例えば、虫歯のない生徒の割合につきましては、12歳で、平成23年度の58.2%が30年度には69.5%になる。また、歯科保健計画策定市町村数の増加につきましては、22年度48が30年度65になるといった成果が見られていると認識しているところでございます。  一方で、条例制定後10年近くが経過いたします中で、歯科検診の受診率向上のほか、新たな概念であるオーラルフレイルへの対応や、全身の健康と歯や口腔の健康に一体的に取り組む医科歯科連携の推進などが今後取り組むべき課題であるというふうに認識をしているところでございます。  次に、オーラルフレイルの課題解決に向けた取組についてでございます。  県では、今年度から、市町村が実施する介護予防教室に歯科衛生士を派遣し、オーラルフレイル対策の重要性に関する啓発や歯や口腔のケア、運動等に関する指導を県内5市町村において県歯科衛生士会の協力を得てモデル的に実施してきているところでございます。また、専門知識を有した歯科衛生士等を多数養成するため、オーラルフレイルに関する研修会を開催するなど人材の養成も開始しているところでございます。  さらに、今月5日には、松本歯科大学と歯科口腔保健の推進に関する連携協定を結んだところでございます。今後、この協定に基づき、オーラルフレイル対策についても連携、協力して取り組んでまいることとしております。  次に、研究成果の活用と介護予防分野との連携した取組についてでございます。  オーラルフレイルの予防につきましては、それが全身疾患の予防につながること、また、健康で長生きするための一つの重要な要素であるといったことを県民の皆様にしっかりと認識していただくことが重要でございます。そこで、議員御指摘のとおり、まずは様々な研究成果から得られるエビデンスを歯科保健関係者で共有すること、さらには、県民の皆様に対しても分かりやすく周知、啓発してまいりたいというふうに考えているところでございます。そのため、先ほど申し上げました松本歯科大学の協力もいただきながら、市町村担当者向け研修会や県民向け講演会などを開催して浸透を図ってまいりたいというふうに考えております。  また、介護分野との連携につきましては、歯や口腔の健康を増進する上で、歯科専門職にとどまらず、保健師、栄養士などに加え介護職などによる多職種で連携した取組が重要でございます。昨年度から開催しているフレイル予防推進検討委員会において関係団体それぞれの取組を情報共有し、オーラルフレイルを含めた取組を進めてまいりたいと考えてございます。  今後とも、研究成果の活用や介護予防分野との連携によりまして、県民の歯や口腔の保持増進に関係者と連携して取り組んでまいります。  以上でございます。       〔33番石和大君登壇〕 ◆33番(石和大 君)設計単価等については柔軟な対応をしていくという答弁であります。答弁のとおりみんながよくなる形でのビルド・バック・ベターをしっかりと成し遂げていただきたいと思います。  オーラルフレイルに関しましては、連携協定等を進めていただく中で、悪くなってからでは遅いわけでありますので、気づいたときに、オーラルフレイルになる前から対策していただくことをぜひお願いしたいと思います。  次に、2040年に向けての人口構造の変化とそれへの対応について伺います。  近年、マスメディアの報道を見ていると、2025年問題や2040年問題と呼ばれる人口減少問題を取り上げた特集などを時折目にします。2025年問題は、1947年から49年の第1次ベビーブームに生まれたいわゆる団塊の世代が75歳以上となる頃日本で起こる諸問題のことを指すとされています。  厚生労働省が推計した生涯医療費の推移によると、医療費は75歳から79歳でピークとなり、また、70歳以降に生涯の医療費の約半分がかかるとされています。また、介護サービスを受ける可能性が75歳から急上昇すると言われており、社会保障費の急増に加え、医療、介護、福祉サービスの担い手、受け皿不足も深刻化するとされています。  さらに、15年先の2040年には何が起こるか。  国立社会保障・人口問題研究所によると、2040年には国内の総人口が約1億1,000万人まで減少する見込みです。そのうち、15歳から64歳までの生産年齢人口が約6,000万人、65歳以上の高齢者が約4,000万人となり、いわゆる現役世代1.5人が高齢者1人を支える計算となります。1960年代には10人近い現役世代が1人の高齢者を支えていたということを考えると、人口の年齢構成比が大きく変動していることがよく分かります。  さらに、以下のデータが少子高齢化社会の到来を強く予感させます。  昨年12月24日に発表された厚生労働省の人口動態統計によれば、2019年に国内で生まれた日本人の子供の数は86万4,000人と、1899年の統計開始以来、初めて90万人を割り込む見通しとなりました。出生数の90万人割れは当初の想定より2年早く、少子化の進行が加速化しているのではないかと強い危機感を覚えます。  さらに、直近の2015年の未婚率は、男性23.37%、女性14.06%で、2010年からの5年間で、男性3.23%、女性3.45%上昇しました。また、平均初婚年齢も、男性31.1歳、女性29.4歳と10年以上にわたって一貫して上昇するなど、いわゆる晩婚化、晩産化の傾向が一層強まっています。  少子化を招く様々な要因について改めて検証するとともに、実効性のある対策が求められています。少子化及び高齢化の進行は、将来の人口構造の変化を意味します。政府においては、2040年を展望した社会保障・働き方改革本部を設置するなど、65歳以上の高齢者人口が最大となる2040年を見据えた方策を検討しています。  社会の経済活動は、担い手である労働力人口に左右されます。内閣府のホームページを見ると、次のように人口減少の問題に触れています。人口急減、超高齢化に向けた現状のままの流れが継続していけば、労働力人口は2014年時点で6,587万人だったものが、2030年には5,683万人、2060年には3,795万人へと加速度的に減少していきます。総人口に占める労働力人口の割合も同様に低下し、働く人よりも支えられる人が多くなる。  定常状態に比して労働力人口減が経済にマイナスの負荷をかける状態を人口オーナスといいます。高度成長期において、生産性が上昇していくだけでなく、労働力人口が増加することによって成長率が高まっていく状態、人口ボーナスの反対の状態となります。  急速な人口減少が国内市場の縮小をもたらすと、投資先としての魅力を低下させ、さらに人々の集積や交流を通じたイノベーションを生じにくくさせることによって成長力が低下していく。加えて、労働力不足を補うために長時間労働がさらに深刻化し、ワーク・ライフ・バランスも改善されず、少子化がさらに進行していくという悪循環が生ずるおそれもあるとのことです。  こうした人口急減、超高齢化による経済へのマイナスの負荷が、需要面、供給面の両面で働き合ってマイナスの相乗効果を発揮し、一旦経済規模の縮小が始まるとそれがさらなる縮小を招くという縮小スパイラルに陥るおそれがあります。縮小スパイラルが強く作用する場合には、国民負担の増大が経済の成長を上回り、実際の国民生活の質や水準を表す1人当たりの実質消費水準が低下し、国民一人一人の豊かさが低下するような事態を招きかねません。  また、人口の変動を地域別に見ると、地方の状況はさらに深刻です。首都圏一極集中の動きに歯止めがかからず、長野県でも、進学時に県外に出た学生の相当数は地元に戻らず、首都圏等に定住する流れができています。  国立社会保障・人口問題研究所が出した全国人口に占める都道府県別人口の割合で2020年と2040年を比較すると、東京都が11.0%から12.4%へ増加をし、他の道府県を圧倒する人口を擁するほか、近隣の埼玉県、千葉県、神奈川県のほか、愛知県、滋賀県、広島県、福岡県、沖縄県で割合が増加しますが、ほかの道府県は横ばいまたは減少となり、長野県も1.6%から1.5%に低下する見込みです。  人ごとではなく、私自身も、2040年を迎える頃にはちょうど80歳を迎えます。全体的な人口減少の流れに他地域への人口流出が加わり、将来の長野県の状況を大変憂慮しています。そこで、県では2040年の人口及び人口構造をどう見通しているのか、伊藤企画振興部長に伺います。  また、今後の人口の変化を見据え、どう取り組んでいくのか、知事の御所見を伺います。  次に、児童生徒に対するICTの活用について伺います。  今日の社会では、生活のあらゆる場面でICTを活用することが当たり前となっています。さらに、人工知能AIやビッグデータ、IoT、インターネット・オブ・シングス、ロボティクス等の技術の急速な進展に伴い、これらの先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられ、社会の在り方そのものが劇的に変わるSociety5.0時代の到来が予想されています。  このように、急激に変化し、将来の予測が難しい社会においては、情報や情報技術を受け身で捉えるのではなく、主体的に選択し、活用する力が求められます。今の子供たちが活躍する頃の社会では、情報技術を手段として効果的に活用していくことの重要性はより一層高まっていくと考えられます。  このような社会情勢において、これからの時代を生き抜いていく子供たちは、学校の生活や学習においても日常的にICTを活用していくことが必要です。大人が仕事の道具としてパソコンを使うように、子供が学習の道具として使えるようにしていくことが望まれています。  一方で、我が国の学校におけるICT活用状況は世界から大きく後塵を拝しており、その原因として、学校のICT環境整備が十分でなく、地域間格差も大きいことなどが挙げられています。こうした状況を踏まえ、国は、教育のICT化に向けた環境整備5か年計画を策定して整備を進めているとのことですが、この計画はどのような計画なのか。また、本県におけるICT環境整備の現状と成果はどのようになっているのか。  さらに、国は、新たに1人1台端末と高速大容量ネットワークを一体的に整備する事業としてGIGAスクール構想を打ち出しています。この事業を国が示す計画どおり進める上でどのような課題があるのか。また、課題に対して市町村とはどのように連携していくのか、お伺いをいたします。  今後、児童生徒が安全にICTを利用するためには、情報リテラシーの育成やセキュリティー対策にも十分な対応が必要です。1人1台端末の整備に向けて、情報リテラシー教育やセキュリティー対策についてはどのように検討していくのか伺います。  加えて、令和4年度全国学力・学習状況調査の中学校3年生で実施される英語「話すこと」調査でタブレット端末を使用する予定だというふうに聞いていますが、このことについて必要となる対応はあるのか。以上、原山教育長に伺います。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)2040年の人口及び人口構造の見通しについてのお尋ねです。  現在の人口は204万6,000人ほどですが、しあわせ信州創造プラン2.0では、人口減少に歯止めをかける政策を講じた場合の2040年の人口を181万1,000人と見込んでおります。  また、人口構造につきましては、15歳から64歳までの生産年齢人口の割合は49.9%で、わずかではありますけれども50%を切ることになりますし、また、65歳以上の高齢人口の割合は35.6%で、全体の3分の1を超えます。また、75歳以上の後期高齢者の割合も2割を超え、全国を上回る水準と見込んでおります。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)今後の人口構造の変化を見据えてどう取り組んでいくのかという御質問でございます。  しあわせ信州創造プラン2.0では、2030年の長野県の姿を見据えた上で5年間の政策の方向性をお示ししております。現在、非常に変化が激しい時代でありますので、20年先の社会情勢を的確に見通すことはなかなか難しい部分がありますが、しあわせ信州創造プラン2.0が示している政策の方向性は、2040年の社会に適応していくための布石でもあるというふうに考えております。  少子化対策、社会増への転換を図る取組を引き続き進めてまいります。特に、担い手不足を解消し、地域の活力を確保していくため、若い世代を引きつけるための職場づくりや魅力あるまちづくり。また、産業の生産性、暮らしの利便性を向上させるためのAI、IoT等先端技術の積極的な活用。また、高齢者が増加するわけでありますが、医療介護提供体制は安心できる体制をつくっていかなければいけないと思いますし、人口減少下においても各市町村が安定的に行政サービスを提供できるような自治体間、行政間の連携の在り方ということも考えていかなければいけないと思っております。こうした様々な論点をしっかり念頭に置きながら、人口減少や高齢化が進展する中にあっても本県の活力が維持できるように取り組んでいかなければいけないというふうに考えております。  今後とも、人口構造の変化に対する危機意識をしっかりと持ちつつ、また、中長期的な視点もしっかりと持ちながら県政運営を行っていきたいと考えております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)ICT教育に関してでございます。国の環境整備5か年計画の内容、それから本県における現状と成果ということであります。  新学習指導要領では、情報活用能力を学習の基盤となる資質、能力と位置づけまして、ICT環境整備の必要性も明記したところであります。それを受けまして、国は、整備計画におきまして平成30年度から令和4年度までの整備目標を示しておりまして、具体的には、児童生徒が利用するパソコンは児童生徒3人に1台程度、普通教室の無線LAN整備率100%などを掲げているところであります。  これに対する昨年度末段階の本県整備状況は、児童生徒用パソコンが児童生徒5.4人に1台、普通教室の無線LAN整備率は41.3%となっておりまして、この数値はおおむね全国の平均的なレベルにあるということであります。  GIGAスクール構想を進める上での課題、市町村との連携についてのお尋ねでございます。  校内通信ネットワークにつきましては、1月末現在の意向調査でほとんどの市町村が来年度の整備を予定しておりまして、1人1台端末についても年次進行で整備を進める予定となっております。  課題としては、端末、それから有償ソフトウェアの購入の負担、1人1台端末導入後のランニングコストの負担、また、教員のICT活用指導力等が考えられるところであります。このため、仮称ですが、長野県ICT学びの推進協議会を立ち上げまして、大学教授やIT専門家といった有識者による助言を受けながら、1人1台端末の効果的なソフトウェアの導入や活用方法について協議し、指導力向上を図っていく所存であります。  さらに、タブレット等の整備に当たっては、市町村自治振興組合において市町村のタブレット等の発注契約業務を共同して行う仕組みづくりに取り組んでいるところであります。これによりまして、スケールメリットによる調達コストの削減や市町村担当者の負担軽減が図れるものと考えておりまして、共同調達の利用を市町村に促してまいりたいというふうに思っております。  それから、情報リテラシー教育やセキュリティー対策でございます。  セキュリティー対策につきましては、ネットワーク内を教員用と児童生徒用に分けまして、児童生徒用端末からは教員用のネットワークには接続できなくなっており、情報漏えいや不正侵入を防いでいるところでありますけれども、今後は児童生徒が作成したデータをクラウド上で保存することとなるため、国際規格の認証を受けたクラウド事業者を選定する必要があると考えております。  また、情報リテラシーにつきましても、端末が常に児童生徒の手元にあり、情報の収集や発信が容易となるため、情報の信憑性を見抜く力や個人情報に配慮して発信できる力を育てることが肝要だと思っております。こうした課題につきましても、先ほどの推進協議会におきまして専門家の知見を得ながら具体的に検討してまいりたいというふうに思っております。  最後に、令和4年度の英語「話すこと」調査に向けた対応です。  令和4年度の英語調査については、国がGIGAスクール構想の中で示した実現ロードマップにはコンピューターを使う方式での実施を検討すると記されているところであります。しかしながら、現段階では、実施方針や実施方法など詳細は示されていない状況でありまして、今後、国の動向を注視して、必要な情報を市町村教育委員会と共有しながら準備を進めてまいりたいというふうに考えております。       〔33番石和大君登壇〕 ◆33番(石和大 君)今答弁でもありましたけれども、1人1台の端末を配備するには共同購入等を県がしっかりとリードしていく、一括での購入等の的確な対応が必要であります。  さらには、3年間かけて小中学生に配備した後のことを予測しておくことも必要だと思っています。タブレットなどの情報ツールの進化は日進月歩でありますから、3年もたったらその時期の主流の機器とは何代も違う、時代にそぐわないという可能性もあります。先を見通しておくことに配慮願いたいと思います。  さらに、情報リテラシーについては、最近の小中学生に対するアンケートで、ネットで知り合った人がいる、また、ネットで知り合った人に会ってみたい、会ってもよいという答えがとても増えています。3年前に比べて明らかに増えています。これは、ネットの情報に対する警戒心がなくなっている、リテラシー、批判的に読み解く力の欠如を意味しています。県全体で情報リテラシー教育に力を入れるべきと申し上げておきます。  もう一つ気をつけなければいけないのは、先ほど答弁にもありましたが、個人情報等の漏えいの問題であります。慣れない子供たちが情報通信機器に触れて、操作ミスで情報漏えいが起きる可能性もあるわけです。児童生徒、教員、学校管理者、設置者に賠償責任が生じるような事態は避けなければなりません。情報漏えいによって多額の賠償責任、賠償命令が出たという判例もあるわけであります。そういった事態にならないようにこれから準備をいただければというふうに思うところであります。  いずれにしても、初めての状況でありますから、十分な対策を講ずることを要望して、質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)次に、小林東一郎議員。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)通告に従い、順次質問してまいります。  初めに、「気候非常事態宣言-2050ゼロカーボンヘの決意-」の具現化について伺います。  昨年末、オランダの最高裁は、市民が政府を相手取り気候変動対策の強化を求めた訴訟で、政府は市民の生存権と福祉に深刻な影響をもたらす気候変動のリスクを考慮し、2020年の終わりまでに温室効果ガスの排出を1990年比で25%削減する義務があるとの判決を下しました。  オランダ政府は、これまで、20%削減というEUの共通目標に沿った対策を立ててきましたが、判決は、科学と国際社会のコンセンサスに従えば、先進国は2020年末までに25%削減する差し迫った必要性があると指摘。オランダ一国の取組では気候変動に与える影響は大きくないと認めながらも、全ての国が責任を共に負う義務があるとの発信も忘れてはいません。  差し迫った必要性、責任を共に負う義務が言われる状況にあって、気候非常事態宣言と2050ゼロカーボン宣言を発し、今年度内にも気候危機突破方針(仮称)を取りまとめ、具体的な取組をスタートさせるという知事の意欲には賛同するものです。とはいえ、そのような政策推進は、何もこれから始まるというものではありません。知事も述べておられるように、これまで取り組まれてきた環境エネルギー戦略の着実な推進が欠かすことはできません。  そこで、環境部長に伺います。  現行の戦略では、2050年に温室効果ガス排出を80%削減する目標が掲げられていますが、目標達成の可能性をどのように見込んでおられますか。あわせて、現時点での目標達成に向けた現状と課題についてお聞きします。  現行戦略の最終年度となる来年度の県内温室効果ガス総排出量の目標は、2015年度比でマイナス14%、その中で、家庭部門についてはマイナス25%、業務部門ではマイナス24%と突出した削減がもくろまれています。  本県では、2014年度からの建築物環境エネルギー性能検討制度・自然エネルギー導入検討制度によって、新築戸建て住宅の省エネ基準達成率83.5%、自然エネルギー設備の導入率33.2%との成果が示されているところですが、環境審議会温暖化対策専門委員会でアドバイザーを務める竹内昌義東北芸術工科大教授は、それは温室効果ガス削減のとば口に立ったに過ぎないとしています。  建築物の使用年数が30年から50年と言われることを考えれば、現行の戦略より一段踏み込んだ2050ゼロカーボン実現に向け、建築物のゼロエネルギー化を早急に具体化しなければなりません。今後、新築建築物での可能性と普及について建設部長に伺います。  ゼロエネルギー化が可能ならば、基準を定めた上で施策展開が必要となりますが、いつまでに基準を定める見込みなのか。不可能とか不明と言うなら、ゼロカーボン宣言が空文化するおそれがありますが、宣言に際し知事にどのような意見具申をされたのか、併せて建設部長に伺います。  さらに、2050年までに既存建築物の全てがゼロエネルギー建築物に建て替えられるとは考えられません。太陽光発電とセットで蓄電池設置ばかりでなく、あらゆる方策の組合せによる大胆な改修が欠かせないことになります。現行の環境配慮型住宅助成金リフォームタイプでは全く不十分なはずですが、認識を建設部長に伺います。  公営住宅は、低所得者に安価で良質な住宅を提供するという目的を有しており、その良質の概念の中に環境負荷をかけないという観点を含めるべき状況だと思うのですが、建設部長のお考えをお聞きします。  また、来年度以降、ゼロエネルギー化に向けて県営住宅の性能向上を図っていく必要性についての見解も併せて伺います。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)現行の環境エネルギー戦略の目標達成と、現状と課題についての御質問でございます。  環境エネルギー戦略の目標達成につきましては、2010年度から2015年度までの5年間の削減量151万トンと同じペースで今後35年間減少し続けると仮定した場合、2050年度には現在の1,414万トンが357万トンまで削減することとなり、目標の300万トン達成も不可能ではないと考えております。  二酸化炭素排出量は、2010年度以降減少傾向が続いており、大規模事業者への排出削減計画の策定義務づけや住宅新築時における環境エネルギー性能の検討義務づけなど取組の成果が表われているものと認識しております。  一方で、目標達成に向けましては、中小事業者が多く対策が難しい業務部門や家庭部門におきます住宅の高断熱化など、それぞれの部門にさらに取組が必要な課題がございます。これらの課題を解消するためには、従来の発想や手法から転換を図ったこれまで以上の取組があらゆる部門において必須と認識しているところでございます。  以上でございます。       〔建設部長長谷川朋弘君登壇〕 ◎建設部長(長谷川朋弘 君)建築物のゼロエネルギー化についてのお尋ねでございます。  建築物のゼロエネルギー化については、現行基準を上回るさらなる高断熱化や高効率の設備システム及び再生可能エネルギーの導入により、技術的には可能と考えているところです。  ゼロエネルギー住宅は一つの到達点と考えますが、施工可能な工務店の割合が約2割にとどまっている現状では、地域の工務店の技術力の向上が必要であり、在来工法で県産材を活用した信州らしい住まいづくりの中でどのように普及させるか、また、費用面でも課題と考えています。  今後、令和2年度末までに策定する予定の次期長野県環境エネルギー戦略がしっかりと整合の取れた計画となるよう、建築分野としても基準を定め、できる限り実効性のある施策を検討してまいりたいと考えております。
     また、このように前向きに取り組んでいきたいと考えておりますことから、宣言について知事に意見具申は行っておりません。  次に、既存建築物のリフォームへの現行支援は不十分ではないかとのお尋ねでございます。  現在、空き家を除く県内の住宅総数は約81万戸ですが、毎年約1万2,000戸が新築されており、2050年までの今後30年間で既存住宅の約4割程度が高断熱の住宅として建て替えが進むものと想定されるところです。また、残りの6割の既存住宅のうち、断熱基準が現行並みに引き上げられた平成11年以降の基準に適合する建物については、大規模な改修は行わなくても、開口部の断熱改修、高効率設備や高出力の再生可能エネルギーの導入によりゼロエネルギーに近い省エネ性能を持たせることは可能と考えております。  いずれにしても、議員御指摘のとおり、既存住宅の省エネルギー化は課題と認識しておりまして、次期長野県環境エネルギー戦略の検討に併せて、従来制度の見直しも含めた施策展開を考えてまいりたいというふうに考えております。  次に、環境負荷の軽減に配慮した県営住宅の提供についてのお尋ねでございます。  住宅の断熱性能の向上や消費エネルギーの少ない照明、給湯などの設備機器の導入は、入居者に良好な居住環境を提供するとともに、環境負荷の軽減につながるものと考えております。現在、県営住宅の建設に当たっては、複層ガラス窓や外断熱工法による高断熱化、LED照明や電気ヒートポンプ給湯器の導入による省エネ化により、建築物省エネ法に定められた新築住宅の省エネ基準よりもさらに厳しい誘導基準を達成する仕様としております。  県営住宅のゼロエネルギー化に向けては、現行の取組のさらなる強化が必要であり、最新の技術動向も踏まえつつ、環境性能の一層の向上について検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)知事は、今定例会の議案説明で、2050ゼロカーボンの始動に言及。県組織自らも変わらなければならないとし、職員全体での危機意識の共有とともに、グリーンボンドの発行や駐在所のゼロエネルギー化などできることから直ちに率先実行するとされました。  来年度取り組む予定の駐在所2か所のゼロエネルギー化モデル事業では、そこで得られたデータを建築物のゼロエネルギー化の基礎資料として活用するとお聞きしていますが、取り入れるメニューは太陽光発電と断熱性能の向上の二つだけ。ペレットストーブや蓄電池の活用といった多様なメニューが検討されるべきです。多様な技術がもたらすデータを得ることこそモデルにふさわしいと思いますが、環境部として警察本部にアドバイスはされたのでしょうか。環境部長に伺います。  2050ゼロカーボン達成に向けた取組の戦略や工程を明らかにすべきとの今定例会での質問に、環境部長は、現状や課題を整理しつつ政策の柱となる考え方や道筋を示していきたいと答弁されましたが、そんなことは現行の環境エネルギー戦略による7年間の取組で明らかになっているのではありませんか。まして、気温上昇の1.5度C抑制を目指すなら、あと10年のうちに化石燃料を中心とするエネルギーシステムを大きく転換する行動が必要で、今が気候危機を回避する最後のチャンスとされています。  策定に向け検討されている新たな戦略にゼロカーボンに至る工程を示すとともに、2021年度以降の施策を県民に明らかにする必要がありますが、改めて環境部長の見解を伺います。  来年度、気候変動施策の部局横断的な推進や国際的な発信のため、気候変動担当部長を設置するとのことでありますが、そもそもそうした取組の要として担当副知事がおられるのではありませんか。全庁挙げての環境エネルギー戦略推進に、担当副知事はどのような役割を担われ、取組推進に当たってこられたのでしようか。また、2050ゼロカーボンの実現に向け、担当副知事の立ち位置はいかなるものになるか、知事に伺います。  知事は、国の目標を上回る2050ゼロカーボンを宣言されました。今後の大胆な施策展開が期待されるところですが、これからの県施策が宣言に合致したものなのかを問いかけ、的確な判断を下すことが知事にも求められます。宣言具現化のためにいかにリーダーシップを発揮されるお覚悟なのか、知事にお聞きします。  また、宣言の実現に向けた取組として真っ先に県民にアピールできるのは、県庁をはじめとする県有施設のカーボンニュートラル化ですが、取り組む意思はおありか、併せて知事に伺います。       〔環境部長高田真由美君登壇〕 ◎環境部長(高田真由美 君)2点御質問をいただきました。  初めに、駐在所のゼロエネルギー化モデル事業への関わりについてでございます。  駐在所のゼロエネルギー化モデル事業につきましては、環境部と建設部が連携して警察本部と検討してまいりました。その検討の中で、断熱材及び窓の断熱性能の強化、暖房、給湯器のオール電化、照明のLED化等の省エネ設備の導入、太陽光発電設備、HEMSと呼ばれる電気やガスの使用量を見える化し機器の最適制御を行う機器の導入をすることとしたところでございます。これによりまして、標準的な建築及び設備の仕様からゼロエネルギー化の仕様に変更することができました。  なお、御指摘いただきました蓄電池をはじめ電気自動車等についても検討したところでございますが、停電時や災害時の使用方法、費用対効果等を考慮いたしまして、今回の導入は見送ったところでございます。  次に、次期環エネ戦略の策定の方向でございます。  現在、2021年度から始まる新たな環境エネルギー戦略の策定を進めているところでございますけれども、策定に当たりましては、2050年のゼロカーボン達成という長期目標を踏まえまして、政策の柱となる考え方や道筋について検討してまいるところでございます。  この検討に当たりましては、ゼロカーボンミーティングを県内各地で開催するとともに、信州環境カレッジのカリキュラムも気候変動を柱に充実させ、県民の皆様との対話を重ねる中で目指す理念や考え方を県民の皆様と共有してまいります。  新たな環境エネルギー戦略に基づきます取組が皆様の御理解の下に戦略開始当初からスピード感を持って展開できるように策定を進めてまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ゼロカーボン実現に向けての副知事の役割という御質問であります。  今回、気候変動担当部長を設置していきたいというふうに思っておりますが、部局横断的に対応していく上では、それぞれのレベル、部レベル、課レベル、係レベル、また私の補佐としてのレベル、いろんな調整レベルがあると思います。本県の場合は、他県と違って次長制を取っておりません。そういう意味で、各部長とは別に特定の課題についてしっかりと横の連携を取ってもらうという意味での担当部長制を取らせていただいております。  私としては、副知事には、県政全体の大きな方向性を私としっかり共有して個々の政策分野と整合性を図ってもらいたいというふうに思っております。また、担当部長においては、今回の場合であれば環境部長に成り代わって他部局との調整を行う。また、今回の気候変動の問題は、とりわけ他の自治体や世界との連携ということも必要となってまいりますので、そうしたことをしっかり行ってもらいたいというふうに考えております。引き続き副知事には副知事としての役割をしっかりと担っていってもらいたいというふうに思っております。  続きまして、ゼロカーボンに向けたリーダーシップの発揮という御質問でございます。  今回、県議会の決議を受けての気候非常事態宣言、そして、ゼロカーボン宣言ということで、大変重たいものがあるというふうに考えております。そういう意味で、全庁挙げてこの取組を進めていかなければならないというふうに思っておりますし、私も、県民の皆様や事業者の皆様、そして広く多くの皆様方に呼びかけて、県民一丸となって取組を進めていくということが大変重要だというふうに思っております。まずは年度末までに気候危機突破方針を策定し、本格的な環境エネルギー戦略を取りまとめていきたいというふうに思っております。  また、先ほどの小林議員の御質問にもありましたように、長野県だけが進めてもなかなか成果が上がらないということで、他の自治体との連携も大変重要だというふうに思っております。今年度から、私は全国知事会における環境文教委員長という職を務めさせていただいておりますので、知事会の場も活用して他の都道府県との連携も強化していきたいと思います。  また、G20関係閣僚会合における長野宣言においても多くの自治体から賛同いただいておりますので、こうした自治体ともしっかり連携しながら長野県が気候変動対策をリードしていくと、そういう意気込みでしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。  また、建築物、県有施設のカーボンニュートラル化に取り組む意思はあるかという御質問であります。  ゼロカーボンを実現していく上では、この建築物の問題は極めて重要な問題でありますし、避けて通れない課題ではないかというふうに思っております。この建築物のゼロカーボン化を進めるためには、まずは高性能な断熱材や窓の設置等による高断熱化や高効率設備の設置による省エネ化、さらには、それでもCO2が削減できない場合は、エネルギーを太陽光発電等再生可能エネルギーに替えていくこと、そして、それでもできない場合は、さらに再生可能エネルギー由来の電力を調達するといったようなことなど複合的な検討が必要になってまいります。  今後、県庁舎をはじめといたします県有施設のゼロカーボン化についてもしっかりと検討を行っていきたいと考えております。  以上です。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)県庁のゼロエネルギー化開始、これは象徴でありますので、ぜひ率先して進めていただきたいというふうに思うものであります。  次に、子供の貧困対策について伺います。  昨年6月の法改正を受け、新たな子供の貧困対策に関する大綱が11月に閣議決定されました。新たな大綱には、親の妊娠・出産期から子供の社会的自立までの切れ目のない支援、支援が届かない、または届きにくい子供、家庭への配慮、地方公共団体による取組の充実が基本的方針として掲げられ、指標数も25から39に増加しています。進捗のはかばかしくない妊娠・出産期の支援や、高校中退予防、中退後の支援といった教育支援体制の整備等が重点施策として打ち出されています。  県は、子ども・若者支援総合計画を2018年度に定め、取組を進めているところですが、新たな大綱に合わせた改定の必要性について県民文化部長の認識を伺います。  来年度当初予算案に盛られている県立高校「未来の学校」構築事業の研究校の一つに、少人数学級を研究する高校が選定されています。そこでは、生徒数に応じた新たな学びや指導の在り方と有効性について研究を進めるもので、大綱が重点施策とした中退予防の観点は含まれておりません。となれば、「未来の学校」構築事業とは別に、中退率の高い高校の状況を直視して、学力保障や中退予防といった観点からの少人数指導や補習といった教職員等の指導体制や教育相談体制の充実を図るべきですが、教育長の見解をお聞きします。       〔県民文化部長増田隆志君登壇〕 ◎県民文化部長(増田隆志 君)国の子供の貧困対策に関する大綱に合わせて県の子ども・若者支援総合計画の改定が必要なのではないかという御質問をいただきました。  昨年11月に改正されましたこの国の大綱は、御質問にもございましたように、その基本的方針として、貧困の連鎖を断ち切る、妊娠・出産期から子供の社会的自立までの切れ目のない支援体制の構築、支援が届いていない、また届きにくい家庭の配慮などを掲げておりますし、重点施策として、教育費の負担軽減や教育の質の向上などの教育支援、妊娠・出産期、子供の幼児期、成長期における生活の安定に対する支援、保護者への就労支援などを挙げているところでございます。  これに対しまして、本県の子ども・若者支援総合計画は平成30年3月の策定でございまして、その後新設されました幼児教育・保育の無償化など個別の制度等は盛り込んでいないところでございますが、この計画の目指す姿や施策の展開は新大綱の基本方針や重点施策と方向性を一にし、施策の展開上、整合したものとなっていると捉えております。  こうしたことから、計画の運用に当たっては、新大綱に盛り込まれました新しい制度等に十分配慮しつつ、また、盛り込まれた指標についても現状把握を行いながら現行計画の下で子供の貧困対策に取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)中退予防の観点での支援体制の充実についてのお尋ねでございます。  中途退学の理由は、学校生活、学業不適応、進路変更、家庭の事情など様々でありまして、中退率の高い学校においては本人や家庭環境に課題を抱えたまま入学してくる生徒が多いという傾向もあります。  こうした様々に困難を抱えた生徒への指導体制として、例えば、学習に苦手意識を持っている生徒にチームティーチングや補習によってきめ細やかな指導を行うために学習支援員を配置しているところであります。また、生活上及び学習上の困難さの改善、克服と卒業後の自立を目指した支援を行うため、通級指導教室を設置しているところでありますが、来年度は3校に拡充する予定となっております。  指導工夫の点では、各校では、地域と連携した探究的な学びの中で、例えば地元農家の手伝いや地場産品のPR活動、小中学校との交流活動などによって生徒の視野を広げ、自己肯定感を育む取組を行っているところでありまして、さらに充実させてまいりたいと思います。  相談体制については、スクールカウンセラーを全ての高校に配置し、スクールソーシャルワーカーの市町村派遣を拡充するなど切れ目のない支援体制を構築しているところでありますが、さらに、次年度は養護教諭の配置を拡大するなど充実を図ってまいりたいと思っております。 中退予防の観点での支援体制の充実についてさらに拡充を進めていきたいというふうに考えているところでございます。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)次に、県立高校における必修科目の履修の在り方について伺います。  2月8日に、県立I高校で、2016年度に2学年で必修科目の未履修が疑われる事態があったとの新聞報道がありました。当時の学校長は、発覚時、未履修ではないかと指摘されても仕方のない状況と問題を把握しており、県教育委員会は、受験科目を優先させる不適切な対応だったとし、学校長を厳重注意したと報じられました。  この問題について、以下教育長にお聞きします。  新学習指導要領移行を間近に控え、学びの改革を推進する県教育委員会としては、高校における必修科目の履修はいかにあるべきとお考えですか。  また、未履修が疑われた必修科目の地理Aについては、教育課程では約70時間の授業が必要なところ、十数時間のみの授業しか行われず、残りは受験対策として世界史を教えていたとのこと。となると、成績評価はどのようにされたのかとの疑問も生じますが、成績評価についての基本的な考え方をお聞かせください。  この事例では、2017年度の5月から10月にかけて授業時間の不足を補うための教科指導が行われていましたが、高校から県教育委員会への報告は、それら教科指導の終了後でした。高校側には事態を隠そうとする体質があったと断ぜざるを得ませんが、認識をお聞きします。  県教育委員会では、2016年度末に学びの改革基本構想を取りまとめ、2018年9月には「高校改革~夢に挑戦する学び~実施方針」を公表しています。高校での学びの在り方を議論しているさなかに受験科目に偏重した不適切な事態が起きていたにもかかわらず、県教育委員会においては議論の対象にすらなりませんでした。では、教育長はこの事態をいつお知りになったのでしょうか。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)必修科目の履修と成績評価の在り方についてのお尋ねであります。  必修科目は、1単位当たり35時間を標準として、学習指導要領に定められた標準単位数を掛け合わせた時間数の授業を全ての生徒に履修させなければならないものであります。全ての高校生が必修科目の内容を学ぶことは当然のことだというふうに認識しております。そして、成績評価は、生徒が履修を終えた後に授業の様子やテストの結果等を総合して評価すべきものであるというふうに考えております。  高校側に事態を隠そうとする体質があったのではないかというお尋ねであります。  本事案が県教育委員会事務局に報告されるまでの経過を申し上げますと、当該高校の平成28年度2年生が、地理A2単位を70時間程度学ばなければならなかったところ、地理Aと国際社会を同じ教諭が教えている中で国際社会の授業数を多くしてしまい、地理Aの授業数が大幅に少ない事態になってしまったということであります。  校長は、平成29年3月に事態を把握したため、5月に生徒と保護者に状況を報告し、謝罪した上で、改めて地理Aの補充指導を行ったところであります。関係生徒の成績評価については、まず2年生の時点で行い、補充指導を終え、終了した後に改めて行ったところであります。  当時の校長は、補充指導に区切りがついてから一連の事態を当時の教学指導課に報告いたしました。そうした経緯を踏まえると、校長には事実を隠そうとする意図があったとまでは言えないにしても、事態を把握した段階で速やかに教学指導課に報告し、対応を相談すべきだったというふうに考えております。  教育長への報告についてのお尋ねであります。  先ほど申し上げた経緯については、昨年5月に本事案の公文書公開請求などがあり、現在の学びの改革支援課から報告を受けたところであります。その報告の中で、あわせて、当時の教学指導課は、当該高校の経過報告を受けて文部科学省に確認したところ、本事案は計画的に教育課程表とは別の科目を学ばせるいわゆる未履修とは異なって、指導の不足と言える事案であり、補充指導をしたことによって履修をしたと認められるという回答を得たところであります。  教学指導課は、文部科学省の回答と、学校が生徒、保護者に状況を説明し、謝罪している。そして、補充指導についても説明していることを踏まえ、平成29年の段階では教育長及び教育委員会への報告はしなかったという報告を受けたところであります。  しかしながら、当時の該当高校の生徒の皆さんに、3年生の大切な時期に補充指導の負担をかけてしまったことは事実であり、改めておわびを申し上げます。  それから、報告を受け、学びの改革支援課に他の高校でも同じような事例がないかを確認するよう指示し、ないとの報告を受けたところでありますけれども、このようなことはあってはならないことであり、一連の事態に対する反省も含め、改めて教育委員会に報告するとともに、再発防止を徹底してまいりたいというふうに考えております。  以上です。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)今教育長から御説明をいただきましたが、この案件についての一連の対応から、学校現場も教育委員会事務局も事態を矮小化しようとした姿勢が見てとれます。それによって、受験に偏重した教科指導を是正し、学びの改革を推進する県教育委員会の確固たる意志を県民に示す機会が失われました。  折しも、教育長は、今定例会の議案説明で、施策の着実な推進のために県民の信州教育に対する信頼が不可欠であり、引き続き信頼回復に向けてさらなる取組を徹底するとされました。では、教育長はこの案件から何を学ばれ、いかに教育行政に反映させるおつもりですか。  教育長から今説明がありましたように、文部科学省から未履修とは言えないとの判断を得たことで事態を軽く捉え、事務局内部での対応にとどめる判断がなされました。その判断が県教育委員会における学校現場の動きに基づく議論を回避させてしまっています。  このように県教育委員会においての議論がリアリティーを欠く状況があったことについて、教育委員の任命権者である知事に見解をお聞きします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)今回の事案から何を学びどう生かそうとしているかというお尋ねでございました。  ただいま説明しましたように、あってはならない事案だというふうに思っております。その事案について真摯に反省もしながら、県民の信頼を回復し、そして、学びの改革に全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)必修科目の履修につきましては、当然のことですが、確実に行わなければいけないというふうに思っておりますし、また、私としては、教育委員会のガバナンスに疑問を呈されるようなことがあってはいけないものというふうに思っております。  教育委員会には、今回の事態を十分に把握していただいた上、再発防止策も含めて十分な議論を行い、子供たちに対して責任ある対応をとってもらいたいというふうに考えております。  以上です。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)次に、県立高校における学校長による学校経営の在り方について伺います。  魅力ある学校づくりを推進し、各校の教育課題に迅速かつ的確に対応するとともに全県的な教育水準の向上を図る目的で、2014年度から県立高等学校長の1校での在任期間の適正化に取り組まれてきました。この6年間の取組による現在の在任年数の状況と在任期間延長がもたらした効果について教育長に伺います。  「高校改革~夢に挑戦する学び~実施方針」では、県立高校は、各校での学びを体系的に示す生徒育成方針、教育課程編成・実施方針、生徒募集方針の三つの方針を策定し運用していくとされ、間もなく策定が終了、来年度当初からの運用が始まります。これにより、学校長の学校経営手腕が試されると同時に、三つの方針を基に学校経営においてPDCAサイクルを回していくためには、方針策定後の初年度生の入学から卒業までの3年に、その後の評価、再構築のための1年を合わせ、4年が必要になるものと思料します。このような視点で学校長の在任期間を考えるべきと思いますが、教育長の見解を伺います。  「高校改革~夢に挑戦する学び~実施方針」推進の要諦の一つとして、教育行政のトップが持ち合わせるべき感覚に、学校経営への理解と経験があると私は考えます。しかし、現在、教育長及び教育次長には、義務も含め学校長の経験者がいらっしゃいません。学校経営の実務に携わったことのない方々が教育行政を牽引している状況にいささかの違和感を覚えるのですが、教育長及び教育次長の人事の在り方について知事の所見を伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)学校長の在任期間と延長の効果についてでございます。  校長の在任期間につきましては、中長期的視点から各校の学校運営に取り組むため、1校の勤務年数の長期化を図ることを平成26年度高等学校教育職員人事異動方針で定め、6年間運用しているところであります。その結果、在任年数が徐々に長くなってきておりまして、1校の在任が4年、5年の校長も増えてきたところであります。  在任期間延長によりまして、校長がリーダーシップを発揮して前例踏襲でない様々な提案をし、教員とも時間をかけて粘り強く議論し、校内改革を進めるなど、探究的な学びの推進や職員の意識改革、地域連携などで成果が目に見えて現れている学校が出てきているところであります。  続きまして、適正な在任期間についてというお尋ねであります。  校長が安定的に学校運営に取り組み、高校改革を推進するための在任期間の在り方を考えていく必要があるというふうに思っております。そこで、今までの取組に加えまして、来年度は校長職の再任用制度を試行し、後進の育成とともに在任期間の長期化を図っていく予定でございます。また、できる限り若手管理職の登用を図っていく中で高校改革を推進できるよう体制を整備してまいりたいというふうに考えております。       〔知事阿部守一君登壇〕
    ◎知事(阿部守一 君)私には教育長及び教育次長の人事の在り方という御質問をいただきました。  まず、教育長につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の規定に基づきまして、人格が高潔で、教育行政に関し識見を有する者の中から、教育、そして子供たちへの思い、教育の再生を進めていただくことができる、そうした人材を念頭に人選をいたしております。  教育次長につきましては、これは教育委員会が任命権を有するものでありまして、教育委員会において本県の教育行政の推進にふさわしい人材を任命しているものと考えております。 本県では、教育次長2名体制ということになっておりますので、そのうち1名が教育職の出身、近年では学校長または教頭として学校運営に参画した経験を有している方を教育委員会において任命しているというふうに承知をしております。  なお、教育委員会事務局におきましては、教育現場を知る教員、あるいは学校長の経験者も多数勤務しているという状況であります。こうしたことから、施策の立案に当たりましては、学校経営のことも含めて現場の現状も十分反映しながら行われているものというふうに考えております。  以上です。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)県立高校の学校長の在任期間でありますけれども、三つの方針を運用していく上で、生徒が入ってきて、育てて、卒業させて、出口に到達したところで初めて3年間取り組んできた中身がどうだったのかということが問われるのだろうと思うんです。そこをもう1年続けることによって、その学校を次にどんな姿に変えていこうか。そういうことをしっかりと形づくっていただきたい。そういう意味で4年の在任期間が必要ではないかというふうに申し上げたわけでありまして、今後しっかりと検討をいただきたいと思います。答弁は結構でございます。  最後に、大北森林組合の経営状況について伺います。  月ごとに林務部が取りまとめている組合への指導、支援の状況から見てとれる組合経営の本年度一貫した課題は、事業計画に基づく事業収益の黒字化であり、事業進捗管理すらままならない状況の改善です。  それら課題解決の裏づけとなるのが、事業展開に欠かせない人材、特に技術系職員の確保と事業実施体制の整備であることは明白です。慢性的な人材不足が続き経営が安定しない事態を林務部長はどのように認識されていますか。  いよいよ組合の集中改革期間も残すところあと1年となりました。ラスト1年で組合経営の安定化を図り、予定どおりの事業収益を上げられる体質に改善できなければ、組合からの補助金返還が最初から頓挫することになります。経営改善の足かせとなっている人材不足を補い、補助金返還計画に滞りが生じないよう、知事自らがリーダーシップを発揮し、林務部から組合に人材派遣を決断すべきときですが、知事のお考えをお聞きいたします。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)大北森林組合の人材不足に対する認識についてお尋ねをいただきました。  組合は、県や県森林組合連合会の積極的な指導、支援の下、地域の森林の団地化や公的機関の森林整備、河畔林の伐採等の着実な受注等に取り組み、本年度の目標である事業利益の黒字化についてはおおむね達成できる見込みとなっております。  一方、組合においては、本業である地域の森林整備の推進のための森林所有者の取りまとめや森林経営計画の作成などの手間のかかる業務が十分に実施できていないことが課題となっており、持続的な経営再建の実現に向けてこうした業務を一層進めるための体制の整備が重要であるというふうに認識をしております。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)大北森林組合に対する人材の派遣という御質問であります。  大北森林組合の事案につきましては、私も県政における大変重要な課題だというふうに認識をいたしております。今後とも林務部とともにしっかりと向き合っていきたいというふうに思っております。  そういう中で、御質問にありましたように、組合の経営を安定していく上では、この組合の人的な体制も大変重要なことだというふうに思っております。昨年1月から本庁の課長級職員を北アルプス地域振興局の兼務として、より強力な指導、支援に取り組んでおります。また、組合側からの要望を受け、林業政策に専門的知見を有する方の紹介等も行っております。こうしたことによりまして、組合の森林整備量の着実な拡大につながってきているものというふうに思っております。  また、組合の体制をより強化していく上では、森林組合の指導機関である県の森林組合連合会が現在行っております人的支援の内容をより充実することが必要で、そのことも予定されているというふうに認識しております。  今後とも、組合が地域の森林整備の中核的な担い手としての役割を十分発揮し、補助金等の確実な返還がなされるよう、県としては、指導、支援の両面からしっかり取り組んでいきますとともに、組合の経営状況や地域の状況等も踏まえながら、組合の体制の一層の強化に向けた効果的な人的支援の在り方について検討していきたいと考えております。  以上です。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)長期的な展望に立てば、仕事を進めながら人材を育成していくことはできます。ただ、改革集中期間はあと1年であります。この1年で組合の状況を改善していかなければならない。そういう意味で、積極的な人材派遣をお願いいたします。組合の状況がよくならなければ補助金返還もままならないということでありますので、知事の決断をお願いいたしまして、質問を終わります。 ○議長(清沢英男 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(清沢英男 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明26日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時44分延会...